それでも、家に入る時は必ず1人だ。
なるべく素早く家に入るようにしていた。
1人になった瞬間に聞こえるから。
あの日までは駆け足だった足音も、今では全力疾走のような音になっていた。
ダダダダダダダダダダ!!!!って。
しかも日に日に足音は確実に近づいてきていた。
足音が近くから聞こえるようになってきたし、何より、”見てしまった”。
学校の階段の踊り場には、大きめの鏡が置いてある。
その鏡を何気なく見た時、私の背後、階段の上の方に、”居た”
……あのダルマのような、不気味な笑みを浮かべた、男の子だった。
一目見てこの世のものでは無いと確信した。
頭頂部が禿げ上がり、白目を向いて不敵に笑っていた。 身体は病的にガリガリ。
その姿を見て、”すぐそこまで来てしまってるんだ”と直感的に思ってしまった。
その頃には、足音はゆっくりなものになっていた。
まるで、追うのを楽しむかのように。
___私を嘲笑うかのように。
トッ……トッ……トッ……って。
ゆっくり、ゆっくり。忍び寄るように。
怖かった。1人にならないように、常に誰かと一緒に居るようにしていた。
有名なお寺や神社にも連れて行ってもらった。
でもダメだった。 ゆっくり、ゆっくりと、確実に”アレ”は私の背後に近づいてきていた。
そんなある日の深夜。
どうしてもトイレに行きたくなり、怖かったけど、家の中では足音が聞こえたことが無かったこともあって、1人でトイレに行った。
トイレが済み、部屋に戻ろうとした時だった。
1番恐れていたことが起こった。
……後ろから足音が聞こえてしまった…。
























面白かったです!(^^)
お面白かった
後ろを見たくなくなった
怖かったです