その時だった。
何もないところでつまずき、転んでしまった
そのまま、ダルマに思いっきり手をついてしまった。
慌てて立ち上がる私。
ダルマは激しくユラユラと揺れていた。
背筋は凍りついていた。
ダルマの表情はいつもの不気味な笑みでは無く、
般若像のように、目を釣りあげ、鋭い怒りの両目をギョロっと動かして私に向けたからだ。
ダルマの剥き出しになった牙のような歯を見て、
シャーペンなどどうでもいいと、駆け足で逃げるように帰宅した。
*
*
次の日、学校に行くと、あのダルマが消えていた。
違和感の無くなった教室。いつもの日常。
これで一安心……のはずなのに、昨日のことが頭をよぎってしまい、むしろ落ち着けなかった。
取り返しのつかないことをしてしまった気がしてならなかった。
*
*
心にモヤモヤが残ったまま授業を全て終えて、
家への帰り道。1人で歩いている時、新たな違和感に気がつく。
…………後ろの方から聞こえる。誰かの足音。
トットットットッ……って。
初めは友達かと思った。でも、後ろを振り向いても、誰も居ない。
後ろを向いている間だけは音も聞こえなかった。
何故かあの日のダルマを思い出して、怖かった。
その日は後ろを何度も確認しながら走って家に帰った。
*
*
それから一人でいると、必ず聞こえる。遠くからこっちに向かって走ってくるような足音。
1人になるのが怖くて、なるべく友達と帰るようにした。
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 51票
























面白かったです!(^^)
お面白かった
後ろを見たくなくなった
怖かったです