中学生の頃の話。
学年が1つ上がり、新しいクラス、新しいクラスメイトを迎え、新しい生活の始まりに、ドキドキしつつも、ほんの少しだけワクワクしていたあの頃。
新しい教室に入った時、すぐ違和感を覚えた。
教室の隅の方。窓際の1番後ろ。
暖かい日差しの中に、明らかに不釣り合いな”ソレ”は居た。
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___不気味な笑みを浮かべた、大きなダルマ。
洗濯機ほどの大きさだった。
とても異様な光景だった。
さらに、そんな光景に、私以外の誰一人として話題にすら挙げず、まるで気がついていないかのように振舞っているのが、より不気味に感じさせた。
新しいクラスに早く馴染みたかったし、みんなに変な目で見られたくないと、私も見て見ぬふりをすることにした。
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新しいクラスにはすんなり馴染めて、楽しいクラスでの日常。
そんな何気ない毎日に、ずっとあのダルマがいる。
初めはどこか不気味で仕方なかった。
あの不気味な笑みをみると、心の底の方がザワザワする。そんな力を、あのダルマに感じていた。
しかし、慣れというのは怖いもので、1ヶ月経つ頃には、それすらも日常の一コマとなり、何も思わなくなっていた。
___そんなある日の事だった。
放課後、委員の仕事で遅くなっていた私は、塾の時間に間に合わないと、大急ぎで帰り支度をしていた。
急いでいたからか、うっかり気に入っていたシャーペンを落としてしまった。
シャーペンはコロコロと転がって行き、ダルマのすぐ目の前まで行ってしまった。
慣れてはいた。
でも、状況が悪い。暗くなり始めた教室に、ひとりきりだ。
あの不気味な笑みがこっちを見ているような気がして、正直怖かった。
それでも、シャーペンを拾いにダルマまで歩いた。
少し足早にダルマまでの距離を詰める。
背筋がヒリつく。
あと3歩程で、シャーペンに手が届く……
























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