シャワーはすぐに暖かくなり、ホッと一息。
その時だった。
背後に気配を感じた。
ギィギィギィ……と、縄が軋むような音も。
思わず振り返ってしまった。
“見てしまった”んだ。すりガラスの向こう側。
……そこには首を吊った女の死体が揺れていた。
何故、やけに安い家賃のわけを聞かなかったのか。
何故、内見もせずに部屋を決めてしまったのか。
後悔しても、もう遅い。
…
…
…
恐怖で動けなくなった俺をよそに、容赦なく”ソレ”は無機質に声を発した。
『おかえりなさい』
『おかえりなさい』
『おかえりなさい』
『おかえりなさい』
『おかえりなさいおかえりなさいおかえりなさいおかえりなさいおかえりなさいおかえりなさいおかえりなさいおかえりなさいおかえりなさいおかえりなさい』
背筋が凍りついて、何も出来なかった。
そしてその時、全てを理解した。
なぜ今まで一度もカーテンを開けなかったのか。
もう、「ただいま」、なんて、とても言えそうになかった。
…
…
…
……ぶら下がっていたんだ。カーテンの向こう側、物干し竿に。始めからずっと。
[完]
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怖い
なぜ死体をかたずけないorきずかないのか
引っ越して何日目で雨が降ったのか知らんが洗濯物は干さなかったのか?