「おかえりなさい。」
4階のアパートの自室。部屋のカーテンの向こうから、ハッキリと、毎日聞こえるんだ。
カーテンの向こうには、幅1mも無いような、簡易な物干しスペースと物干し竿はあるけど、人が”立てる”スペースは絶対にない。
*
初めてその声を聞いた時は、この部屋に引っ越してきたばかりの事だった。
中学を卒業し、俺は親元を離れて1人暮らしを始めることになった。
地元から離れるのは少し寂しかったけど、口うるさい親から離れられて、自由を満喫出来る。快適に過ごせるなぁって。
……そう思っていた。
入学式を終えて、やけに安い家賃のアパートに帰ってきて、初めてその声を聞いた。
「おかえりなさい」
……その声は落ち着いた女性の声だった。
初めは何が起こったか分からなかった。
でも、不思議と怖くなかった。
なぜだか、暖かくも感じていたから。
カーテンの向こうから、帰ってくると毎日聞こえるその声に、俺は必ず、
「ただいま」
そう挨拶を返すようにしていた。
一人暮らしの寂しさを感じることもなかった。
俺は、安心しきっていた。
______でも、引っ越してきて初めて雨が降った日、
“それ”は起こった。
*
傘を持っていなかった俺は、ズブ濡れになって家に帰ってきた。
帰ってきて真っ先に、玄関入ってすぐのところにある、風呂場に駆け込んだ。
体が芯まで冷えきっていて、凍えるほど寒い。
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怖い
なぜ死体をかたずけないorきずかないのか
引っ越して何日目で雨が降ったのか知らんが洗濯物は干さなかったのか?