『死者が蘇る』
仮に、その現象が発生した時。
社会を混乱の渦に叩き落とされるだろう。
何故なら、死はその意義を失うのだからのだから。
人類はその世界で、未来に何を思い、どんな社会を創造するのだろうか。
眼を背けてはならない。
…
…
その惨劇は、ある介護老人施設から始まった。
惨劇の兆候は確かにあった。だが、誰も気付かなかった。
…
「課長! ちょっと待って下さい!」
老人施設に努める介護士である俺は、上司である課長に声をかけて呼び止める。
「なんだね」と課長は気怠そうに俺に返事を返す。
「スタッフの増員の件はどうなったんですか! 運営会議で議題にしてくれたんですよね?」
俺は施設に入所している老人の世話をする手を止める暇もないまま、慌ただしく上司に尋ねる。
「ん? ああ。その件か。」
「今日も早番が欠員しているんですよ…。連絡もないし…。」
「そう言えば、その早番だった職員から連絡があったよ。もう辞めるそうだ。彼は明日からもう来ないよ。」
「は? なんでそんな急に…。」俺の声に落胆が混じる。
「理想と現実が違ったとかなんとか言ってたかな。」
「そんな…。明日からのシフト、どうするんですか!」
俺は悲鳴のような声で課長を問い質す。
「勤務交代で対応してくれ。」
「もうそんな余裕はありませんよ! 同僚だってもう過労で病欠してるんですよ! だから早めの増員の希望を出したんじゃないですか…。」
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ストーリーがめっちゃ面白い!
エグい、リアル、本当に怖いのは人間、そして哀しい。
この人の作品毎回恐すぎる