奇々怪々 お知らせ

心霊

きよみつさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

私が体験した話
短編 2025/05/15 12:47 1,400view

これは私が小さい頃、本当にあったらしい出来事です。
正確には、私自身にははっきりとした記憶がなく、後から母に聞かされた話です。

私が3歳のある日のこと。
まだ保育園にも通っていなかった頃で、近くの公園や神社に母とよく散歩に行っていた時期でした。

その日、母がほんの数分だけ目を離した隙に——私は忽然と姿を消しました。

家の前で一緒に遊んでいたのに、気づいたときにはもういなかったそうです。
呼んでも返事はなく、近所の家にも見当たらず、母は半狂乱になって探し回り、警察に連絡しようとしたそのとき——

家の門の前に、私がぽつんと立っていたそうです。

ニコニコしながら、「ただいまー」と言って。

「どこに行ってたの!?」と母が問い詰めると、私はこう言ったらしいんです。

> 「やさしいおにいちゃんが、おうちまでつれてってくれたよ」

でも、私が連れていかれたはずの道は、交通量も多く、子ども一人では危険な場所でした。
しかもその日は誰も近所で私の姿を見ていなかったといいます。

母は不思議に思い、「そのお兄ちゃんって、どんな人?」と聞きました。

すると、私は少し考えるようにして、こう言ったそうです。

> 「へんなかお。あたまがながくて、くろいふく。へんなことばでしゃべってた」

母はゾッとしたそうです。
そして私が最後に言った言葉に、背筋が凍ったと言っていました。

> 「でも、だいじょうぶ。あのひとはひとじゃないから。まもってくれただけだよ」

それ以降、私はその「お兄ちゃん」のことを話さなくなったそうです。
というより、まったく思い出せなくなった。

でもたまに夢の中で——
黒い服を着た細長い何かが、私の手を引いて歩いている光景を、今でもぼんやり見ることがあります。

そのときの空気は、なぜか「怖くない」んです。
むしろ、あたたかくて、安心してついていっていた記憶が、かすかに残っている気がします。

1/2
コメント(1)
  • 子供のカンは鋭いね。

    2025/05/15/17:33

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。