一体、何が起きているのか…。
「あ…。」
俺は、バイトの男性が言っていた仕事のルールを思い出す。
『定められた時間は絶対に厳守する事』
そして、
『仕事の意味に疑問を持ってはならない』
…。
まさか!
最初の男性は、俺の質問に答える為に…。
『作業が遅れた』
そして女性のバイトは混乱の中で…。
『仕事に疑問を抱いた』
両名とも、仕事のルールを破った。
まさか、そんな理由で…。
こんな不可解で…不条理な死が起こったとでもいうのか!
俺は、放心するように地面に座り込む。
その時。
俺は気付いてしまった。
…俺は、この町に何をしに来た?
町の秘密を、調査するために来た。
…つまり、今、俺は。
『町の秘密に疑問を抱いている』
ぞくり。
俯(うつむ)く俺の後頭部に怖気が走る。
竦(すく)めた背中に視線を感じる。
項垂(うなだ)れた肩が小刻みに震える。
あぁ。
これ以上は、考えてはいけない。
気付いてはいけない。
目的を探ってはならない。
気付けば、もう取り返しがつかない。
空の彼方の宇宙(そら)の何か。その巨大な存在が俺を観察している。
圧倒的な危機感。
地面に目を向けたまま。
俺は携帯電話を手にする。
「撤退だ。」
精神的視野狭窄。
携帯電話に呟くその時の俺は、まさにそれだった。
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