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心霊

ぜろさきさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

子供用の靴
短編 2025/04/29 00:21 1,329view
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何日か前から、マンションの階段に子供用の靴が片方置かれている。

始めのうちは、抱っこしてて脱げちゃったのかなぁ、くらいに思っていたが、いつまで経っても拾われないまま階段にある。
しかも、毎日観察していたら奇妙なことに気付いた。毎日1段づつ上の段に置かれているのだ。
下の階から3段目辺りから、踊り場を通過し、今や俺の住んでいる階に達しそうになっている。
どうやら夜から朝にかけて位置が変わっているようなのだが、仕事で相当遅く帰っても朝とは変わっていないので、かなり深夜に動かしている者がいることになる。

我ながらもの好きとは思ったが、俺は誰がやってるのか確認したくなった。俺の部屋は階段の真正面にあるので、キッチンの窓から見れば階段がよく見える。休みの前日、酒を飲みながら階段を見張ることにした。

夜中の3時ごろ、俺は信じられないものを見た。

女の子の顔に、直接片方の脚が生えた物体が、あの靴を履いてぴょんと1段上がって来たのである。そして、そのまますーっと消え、靴だけが残った。
俺は度肝を抜かれたが、外に逃げる訳にもいかずその夜は家で布団に包まり震えていた。

翌朝、俺はチャイムの音で目を覚ました。ドアスコープを除くと、そこに友人が立っていた。近くまで寄ったから訪ねて来たらしい。
俺は、安心した勢いで友人に昨夜のことを話した。

「何だか知らんけど、あの靴が嫌なら捨てちゃえばいいじゃん」

と友人は呑気に答えた。どうやら本気で信じてはいないらしい。俺は、そんな事したら祟られるかも知れない、そもそもマンションの清掃でも捨てられてないんだから不可能だろうと反論した。

「そこまで言うなら…俺が帰り際に靴を反対向けといてやる。それなら降ってくだろ」

そう言ってそそくさとテレビゲームを初めてしまった。

翌日、恐る恐る階段を見てみると、確かに昨日より一つ下の段に靴があった。その後も、毎日1段づつ靴は降っていく。俺はすっかり安心していた。

もうすぐ下の階に到達しそうになったある日の朝、俺は階段で女性の住人が何かしているのを見た。階段を降りながらすれ違い様によく見ると、あの靴を摘んでくるりと逆に向けた。
そして俺に向かって

「お前だな?」

とだけ言い血走った目で睨みつけると、階段の真正面の部屋へ入って行った。

俺は、すぐにでも引越しをすることにした。

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コメント(2)
  • とても怖いです。
    動画のネタにしていいですか?

    2025/04/29/16:54
  • ありがとうございます
    構いませんが、確認のため視聴させていただきますのでチャンネル名を教えてください

    2025/05/06/08:28

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