ある秋の終わり頃。
福祉施設に勤める俺は、出張で千葉県で開催される研修に参加した。
あまり旅行に行かない俺は、面倒臭いと思いながらも、久しぶりの遠出でワクワクしていた。
せっかく千葉県まで来たのだ。高揚感を感じていた俺は、研修後、帰りの新幹線に乗る前に、寄り道をして行くことにした。
目的地は、ネットで有名なホラースポット。
禁足地『八幡の藪知らず』である。
都会の真ん中。国道14号線の傍ら、住宅街の中にポツンとある、僅か18m四方の竹の森。
何度かこの森の存在をネットで見て知っていた俺は、物見遊山気分で、電車を乗り継ぎ、森のある駅に向かった。
『この藪に足を踏み入れると二度と出てこれなくなる』。
そんな言い伝えのあるこの土地は、遥か昔の江戸時代から禁足地とされており、神隠しの伝承とともに有名になっていた。
なぜこの地が禁足地となったか。その理由は諸説諸々あるが、
かの水戸黄門が迷って出て来れなくなり立入禁止にした説、
昔の豪族の墓所とする説、
平将門の墓所である説、
様々な推測がなされているが、はっきりとした理由は未だ不明である。
しかし、近隣の住人は、この地に対して畏敬の念を抱いており、今持って立ち入る事がタブーとされる禁足地となっているのだと言う。
…
俺が目的地『八幡の藪知らず』に到着した時、すでに周囲には夜の闇が降り始めていた。
僅かな恐怖心。しかしそれを上回るワクワク感に身を浸しながら、この場所を観察する。
18m四方の森は、墓石の様な石柱にぐるりと囲まれており、数分で一周できた。
四方の一辺にある森への参拝口には、灰色の鳥居が立っており『不知森神社』の名が彫られている。
俺は鳥居をくぐり抜け、僅か数mの敷地にある社殿に入る。
禁足地ではあるが、この社殿までは参拝が許されている。つまり、ここまでは足を踏み入れても良いという事だ。
森の周囲には車や住宅の明かりがあるが、一度敷地内に入れば、明かりは自分の携帯電話のライトのみとなった。
携帯の小さな明かりを灯し、俺は社殿の中を照らす。
社殿の奥には、小さくも厳かな佇まいの神社があった。
周囲には、鳥居と同じく、この地の名前が刻まれた石碑がある。
俺は、石柱の隙間からライトを森に向けた。
森の中は、縦横縦横無尽に竹が伸びており、俺の照らす明かりと視界を遮る。
地面には、数え切れないほどの腐り倒れた竹が見える。
























勘違いだったらすいません。 「気のせいか。」が「木にせいか。」になってます。
「直しましたm(_ _)m」