「何でだよ?」
俺の問いに対する椛島の返答は意外なものだった。
「俺実は中学の時にひどいいじめに合っててな、一時期不登校になってたんだ。ほら、あの頃ってまだ一人前でもないのにカッコばっかりつけるだろ?
いづれ世間をアッと言わせてやるぞみたいな出来もしないことを、自分の部屋で勝手に夢想したりしてな、、、
だからあの男の話を聞いた時ついあの頃を思い出してしまってさ、昔の自分見てるみたいで何かこう胸が締め付けられたんだ。
それでこの季節になると、季節になるとお、季節にい、、、き~、き~、ききき」
いきなり語り口がおかしな具合になった椛島に違和感を感じた俺は思わず彼の横顔を見る。
そして一瞬で背筋が凍った。
いつの間にか肌は濁った黄色に変色し頬がこけ、口からは白い泡が垂れている。
「か、、椛島?、、、」
恐る恐る声をかける。
すると彼は何度か世話しなく首を上下に動かし最後はこちらを向くと、焦点の合わない目でこう言った。
「あんたたち、大丈夫か?」
その時にはフロントガラスの向こうに、ガードレールが迫ってきていた。
※※※※※※※※※※
3ヶ月の治療を経た秋も深まった頃、俺はようやく退院する。
椛島のことがずっと気になっていたから、その日には彼の入院先を訪問した。
そこは郊外の自然に恵まれたところにある、精神科専門の病院だった。
受付で指示され奥の応接室のソファーに座り窓から秋の紅葉を眺めていると、入口の扉が開く。
女性看護師に付き添われて、椛島が入ってきた。
白いロングのワンピース姿だ。
げっそり痩せこけ、肌は相変わらず黄色く変色している。
二人は俺の前のソファーに腰掛ける。
























怖ー
コメントありがとうございます
━ねこじろう
怖いけど切ない。良いお話をありがとうございました。
コメントありがとうございます
─ねこじろう