半身を起こし薄暗い室内を見渡していると、
うわっ!
と小さく悲鳴を上げ後ろにのけ反る。
大島が喉裏に激しい心底の拍動を感じながら目を見開き凝視している先は、入口扉の前。
そこには天井にも届きそうな巨大な黒い塊があった。
ちょっとした小山のようなそのてっぺんには、細く吊り上がった二つの目をした白い顔がボンヤリとある。
顔の下方のまるでコールタールのようにうごめく真っ黒な体躯のあちこちには、苦しげに顔を歪める人の顔、顔、顔。
その中には死んだはずの妻や息子の顔があった。他にも女児の顔も。
「し、、、真吾?、、美奈?」
大島は呟くと、ふらふらとよろめきながら
黒い塊に向かって歩きだした。
※※※※※※※※※※
翌朝の○○拘置所はいつになく騒然としていた。
それは朝の点呼時のこと。
看守はいつも通り扉前で大島に呼び掛けをするが、返事がない。
不審に思って解錠し室内を見た途端、彼は息を飲んだ。
室の真ん中辺りで大島がぐったりとして倒れている。
その顔は紫色に腫れ上がり、首はまるで絞った雑巾のように長くねじ曲げられていた。
すぐに医師が呼ばれたが、既に亡くなっていたという。
死因は窒素死だったのだが、どのようにしたらあのような死に様になるのだろうか?と、医師も看守も首を傾げていたらしい。
【了】
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なんでだろう、気が狂ってる死刑囚もいるな
宮崎勤かと思ったけど、年齢も刑までの執行機関が違うから別のかな
多分、別の死刑囚ではないかと。
年齢もそうですが、宮崎さんとは
また違った気配ですね。
コメントありがとうございます
─ねこじろう