それを聞いた中村は真っ直ぐ自分を見て、
「…助けてくれてありがとな。
横澤さんたちには適当に口きいとくから、今日はもう送ってってやるよ。ごめんな。ほんとに」
と言ってくれました。
中村は横澤と黒田に、私が体調が悪くなったから先に帰るという旨を伝えると,すぐさまバイクを走らせて私を家まで送ってくれました。
そんな肝試しが終わって1週間が経とうとした日。中村から着信がありました。
「黒田さん、自殺した。
横澤先輩は、あの日以来帰ってきてないってよ。」
詳しく話を聞きたかった私は、駅前のフードコートに中村を呼び出し、話を聞くことにしたのです。
「俺、あの日から2日後かな、黒田さんの両親に呼び出されたんだ。」
娘があの日以降様子がおかしい。一体何をしたんだ。と殺される1歩手前の剣幕で黒田の母親に怒鳴られたらしい。
腕を掴まれて中村は、黒田の部屋の前まで強引に連れてこられた。そして、そこで
「あつい…あつい、あつい
アついあついあ ついあついついあつ いアツイ暑いあついいいいいい」
そうブツブツと漏らしながら
氷を噛み砕いたり、水分を凄まじい勢いで飲み込む音が響いてきたという。
ただ事では無いと思った中村は、その場を横澤が提案なので自分は何も知らないと嘘をついて逃げてきたという。
「今日、黒田さんの両親に家まで来られたよ。黒田さん。マンションの5階から飛び降りて、水分の摂りすぎで妊婦みたいになった腹が水風船みたいに爆発したんだって、」
中村はどこか虚ろな目をして黒田の死の概要を連ねた。そして、駐車場でバイクに跨った際に、あぁ、そういえば。と思い出したかのように中村が言った
「実は俺もな、霊感あんだ。
横澤先輩があの部屋開けた時にな、俺、部屋の中に血塗れの女が居るの、見えたんだ。
目が、合ったんだ。
そしたら、待ち侘びたみたいな顔で俺を見て笑ったんだよ。
あの時、お前に手を引かれてなけりゃ
俺は、どうなってたんだろう。それとも…」
「なぁ、お前の勘を教えてくれ。
俺は、だいじょうぶなのかな。」


























よかった
中村には生きていて欲しかった