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不思議体験

グレートリングさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

死神の副業  結末
短編 2025/02/03 10:45 198view

『あれは俺だ』
俺と死神が歩行者天国に着くと異様な風体の男がいた。無精ひげを生やし髪の毛はボサボサ。目をギラギラさせて手にはナイフを持っている。実家に引き込もってたころの俺だった。
『過去の自分には会えないはずだ』
俺は死神に言った。
『ここはもう走馬灯じゃない』
俺は過去シーンの観客のようだ。
『Hが現れた』
過去の大崎は理由があってHをターゲットにしたわけではない。ただ視界に入っただけだ。
『逃げるんだ、H』
俺は声を振り絞ったがHには聞こえていない。
『大崎先生ですね』
Hは言った。
『どうして俺の名前を・・・』
もう一人の俺の動きが止まった。
『先生の色紙持ってます』
Hは殺と書かれた色紙を出した。

『これは俺の筆跡だ』
俺の顔に恐怖と混乱が広がった。
『これで犯行をやめてくれるか』
俺の願いも虚しくもう一人の俺はナイフを構えた。
『やめるんだ』
俺は死神の饅頭笠をむしり取るとブーメランのように投げていた。
『当たってくれ!!』
しかしそんなアクション映画のような事は起きるはずもなく笠はあさっての方向に飛んで行った。
『運命は変えられないのか』
しかしそのとき奇跡が起きた。笠から眩しい光がピカッと放たれたれると光の粒子になって四散したのだ。
そしてドンと音が響いてもう一人の俺が持つナイフに雷が落ちた。
『ぐわ〜』
俺は感電して黒焦げになった。
『キャー』
Hも衝撃波を浴びて失神した。
『死神その顔は』

死神の顔に角と牙があり体も大きくなってまるで伝説上の鬼だ。
『死神は職業で正体は雷神だ』
歩行者天国は駆けつけた警官や救急隊員でごった返しになっている。死神は人混みに隠れて俺が落としたナイフを拾いあげた。
『証拠隠滅すれば通り魔事件はなかったことになる』
Hは最初の犠牲者だったのだ。
『たとえ死刑はなくなってもどの道感電死だろう』
死神は蝋燭のカードを見せた。一度消えた炎が再び点灯している。
『どうやら助かるようだ』
カードに押された売約済みの文字が消えていく。
『死神は人間の運命に干渉できないのではないのか?』
俺は北風の言葉を繰り返した。
『死神は干渉できなくても雷は自然現実だからな』
自然現象では仕方ないか。
『俺は生き返るのか?』
死刑はなかった。感電死もしていない。それならまだ生きているはずだ。
『病院で降ろしてやろう。次に目覚めたらベッドの上にいる』
次の人生では中退した大学に復学して教育学部に通うつもりだ。

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コメント(1)
  • 投稿者のグレートリングです。
    バッドエンドで終わらせるつもりがハッピーエンドになりました。小説を書くのは難しいものです。

    2025/02/03/10:53

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