これはまだ私が20歳になる前の事です。
親友の家が喫茶店してまして、そこでアルバイトをしていましたので
夜は友人といつも一緒に飯食ったりしてました。
友人の祖父が入院しまして、「ちょっと見舞に行きたいから付き合って」
と言われ共に病院に行きましてね。
夜のお見舞いなんでもう病院の外来も終わり、夕食が終わった時刻です
玄関から入り、その祖父の病室に行くのに暗い廊下を歩いていきまして
「あの階段昇ってすぐだから」と友人が階段を指さしたんですよ。
そうしたら私の耳元で突然「シュー・・」と聞こえ始めたんです
私は立ち止まりました。
「シュー・・・シュー・・・・シュー」て聞こえます。
友人が「どうした?」と聞くので「聞こえないか?この音」て言ったの
ですが「なにが?」と友人には聞こえていないようです。
耳元の音が少し遠くなって目の前の階段から「シュー・・シュー」と
聞こえ始めた時点で私は友人に
「ごめん。俺は待合室で待ってるよ」と言いました。友人も「判った」
と階段を昇って行ったのです。
私は玄関のほうに引き返しました、なんとなく判ったんです。
半年前に死んだ父が「ここから先に行くな」と引き留めたんだと思いました
あの「シュー・・」と言う音は父が最後に付けていた人工呼吸器の音
なんです。喉を開いて管を入れるので話せない・・肺に強制的に空気
を入れる音なんです。決して廊下や階段から聞こえる音ではありません。
それ以来、今まであの音を聞いた事はありません。すでに新しい人口呼吸機
が普及して「あの音がする呼吸器」はもう見なくなりました。
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