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不思議体験

睦月ニコさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

あたったな
長編 2025/01/22 17:19 3,127view
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「あたった、あたった、あたったな、お前が、あたったな、おい、おい、」

「おい、みろ、みろ、みろよ、お前があたった、みろよみろよみろよみろよみろ」

またしても静寂が広がりました。私は涙を流しながら頭を垂れて必死に謝っていました。 ごめんなさいごめんなさいと、 すると顔に冷たい手が触れたのを感じます。異様な臭気を放つその手は私の顔をひたひたと触ります。 何かを探しているような手つきで私の顔に両の手が触れます。
目隠しを外す気だ!と気づいた私は必死に頭を揺らし、目隠しを外させないようにします。 しかし抵抗は虚しく、”ソレ”は髪が引きちぎられそうな勢いで頭を掴み、もう一方の手で目隠しを外そうとしてきました。 私は必死に目を閉じながらも、泣きながら震えることしかできませんでした。 いよいよ目隠しに手をかけられ、外されようとした瞬間、
バンッとした音ともにキャリーが動き出しました。 私の肩を抑えていた手と目隠しを外そうとしていた手が消えました。 混乱する私をよそにキャリーは旋回した後、急停止しました。その後すぐに目隠しを外されました。 私はまだ”ソレ”がいるかもしれないと思い、必死に目を閉じていましたが、
「もう大丈夫だよー、目を開けていいよ。」押し手の女の子の声でした。 私は恐る恐る薄目を開けると、かがむように見る押し手の子がおり、

「ごめんねー、怖かったね、」と声をかけてくれました。
私はびっしょりと汗をかき、泣きべそをかいていました。年上とはいえ、女の子に泣いている姿を見られた私は急に恥ずかしくなり、袖で涙を拭いながら急いで椅子から立ち上がりました。 あたりを見回すと、いつの間にか教室の入り口の衝立のところに戻っていたようです。
ふと衝立の上を見ました。そこには吊るされたロープと黒い影が揺らめいたように見えました。 私は飛び出すように教室から出ました。

その後、先に出た友人にそれとなく聞いてみましたが、そういったことはないと返されました。
もしかしたら本当にあのクラスの担任の悪ふざけかもしれません。ただ今でもあの女の声を思いだす時があるのです。
無機質で野太いあの声を。

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コメント(1)
  • セクハラ絶対許さないオバサンに当たっちゃったんじゃないかな(;´∀`)

    2025/04/15/20:47

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