山ナメクジの呪い
投稿者:ねこじろう (154)
長編
2025/01/22
11:51
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「今、父ちゃん呼んでくるからね!」
凉太が言うと、
「行かなくていい……」
じいちゃんは弱々しく言った。
「え!?」
意外な言葉に凉太が立ち止まる。
「行かなくていいんだ……
とても良い気持ちなんだ……
何というか温かく包まれていて、悩みも苦しみも痛みももうなにもない……
これはまさに……」
満足げに目を瞑ったじいちゃんの顔は頭の方から徐々に消えていくと被さるようにいつの間にか、あの気味の悪い二本の触覚を持つ顔が現れ口をムシャムシャと動かしている。
巨大なナメクジはマダラ模様の体躯をゆっくり波打たせ、枯れ木をかき分けながら木立の暗がりの中に消えていった。
【了】
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