お菓子売りの婆さん
投稿者:裏メシ屋 (1)
短編
2025/01/19
00:06
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「××はあんたのせいで死んだよ」
俺は気を失ったのだろうか。気がつくと空き地の真ん中で寝ていた。
山姥はもういなかった。
(やっぱりヤバい婆さんだった。可哀想だと思ったのが間違いだった)
俺は立ち上がって帰ろうとし、あることに気づいた。
ズボンのポケットにくしゃくしゃに丸められた紙が入っていた。
開くとそこには乱雑な文字で
『〇〇サン ウラギリモノ。ユルセナイ。タイセツナタイセツナ××ハギセイニナリニドトモドラナイ。ウラギリモノハユルサナイ』
と書かれていた。
俺はその紙をビリビリに破いてその場に捨てて逃走した。
山姥が自宅で亡くなっていたと知らされたのはその翌日のことだった。
どうも死後数日経過していたらしい。
確かに山姥の姿を見たし、手紙まで貰ったのに……
あれは霊だったのだろうか。
これは数年経ってから知ったことだが、山姥が遺体で見つかった時、山姥の家にもうひとつ遺体があったらしい。
それは知的障害を抱えてずっと家に幽閉されていた山姥の息子だったそうだ。
名前は聞いていないが、××というのはもしかしたらその息子の名前だったのかもしれない、と思った。
山姥の家は取り壊され、今は新しい家が建っている。
あの空き地は今も空き地のままである。
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