異世界転生に憧れた後輩

話しかけて欲しくないタイミングでもお構いなしだ。
だからって昔みたいに「空気読めやテメェ！！！」なんて言えない。
そういう時代じゃなくなったからな。

ある時、高山がこれまでにないくらい嬉しそうにしている。
あぁ・・・聞くと面倒くさいんだろうな・・・というのは分かっているが、コミュニケーションも大事だと腹を括り聞いてみた。

「好きなラノベがアニメになったんですよ！！！！！」

ちょっと何言ってるか分からないが、要は好きな小説がアニメになり、しかも声優が推しばかり出ているのでテンションがヤバい・・・との事だ。

それからというもの、グッズが出れば予約して買い、高山の車にはぬいぐるみやステッカーなどでゴテゴテに侵食されていった。

高山「このアニメ絶対に観て下さい！絶対面白いです！！！」
俺「えぇー・・・まぁそこまで言うなら・・・」

今の時代の良い所は、だいたいネットで観れることだ。
じゃなきゃわざわざレンタルしに行ってまで観る事は無かっただろう。

俺「有った。コレだ。えーなになに？○○の世界で異世界転生して○○してみたら○○だった話・・・タイトル長っ」

仕方が無いので1話から観てみると、どうやら主人公が事故に遭い、全くの別世界に記憶は
そのまま生まれ変わり、実はすごい力を持っており、すごい強くてすごいモテる勇者の話・・・という内容だった。

まぁ・・・話の作りとしては面白い。が、こちらもそれなりな大人になってしまったので
「その展開はありえないだろWW」みたいなシーンは多々ある。

これにドハマりするかしないかが、ジェネレーションギャップなんだろうな。

後日高山に面白かったと伝えると、これの2期がどうとか、主題歌が神曲過ぎるとかまた新たな情報を頼んでもいないのにいっぱいくれた。

ある日、高山が「どうやったら異世界って行けますかね？」と真顔で聞いてきた。