トンネルでの出来事
投稿者:鵐 (1)
短編
2021/03/18
20:49
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昨年の冬頃、私が住んでいるY市で起きたことです。
その日は底冷えのするような夜でしたので、帰りのバスの中が暖かくうっかり寝過ごしてしまいました。
降りた場所は人っ子一人いません。仕方なくスマホで最短経路を調べようと思ったのですが、ふとその近くに帰路を突っ切るトンネルがあるのを思い出しスマホを仕舞いそっちに進むことにしました。
トンネルまで進んで、中腹辺りに差し掛かるまでは良かったんです。
ぼんやり前へと歩いていると、向かい側から白い服を着た人が来たんです。
ただ、どこか様子がオカシイ。
何の根拠も無かったけれども、こんなに身震いしたのは生まれて初めてでした。
ソイツは人じゃない・・・そう直感が走り、なるべく見ないようにそっと通り抜けることにしました。
じりじりと迫る距離。一目惚れなどとはもう無縁!その恐怖に疑問を挟む余地もありませんでした。
ソイツとすれ違った、その時のことはもう一生忘れられません。しばらくの間、マジで動けませんでした。
「よく分かったね」
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