幽霊の話に決まっているのだが、こちらも夜勤明けみたいな空元気なのでツッコむ気になれず、腹痛野郎としてその会話に幕を下ろした。
今頃廊下に放置されてたローストビーフ丼なんて食べるからとでも思われているだろうか。
風呂から上がってきた鎖に「もう寝ていいわ、今日も仕事でしょう」と言われたので俺は鎖が先程まで寝ていたベッドへ飛び込んだ。
「あー、鎖の匂い〜」とか言いながら枕に顔を押し付けていると、この世で最も汚い物でも見ているかのような目をした鎖に蹴り落とされたので渋々もうひとつのベッドへ移動した。
目を閉じて5秒くらいで意識が朦朧としてくる、もしかしたらのび太くんは常に寝不足だったのかもしれないなと、消えゆく意識の中で思うのだった。
その日のバイトは30分遅刻した。
俺は鎖を起こしたのに鎖は起こしてくれなかった。
所長からお小言を貰うと俺はメイド服に着替えて鎖の部屋へ戻った。
先程まで自分が寝ていた部屋に仕事として入るのはなんだか不思議な気分だ。
「どうしてアッチのホテルは12階だけ売り止めなのよ、貴方なにか聞いてないの?」
「え?12階??」
ベッドをメイキングしてる俺にふと後ろから鎖が話しかけてきた。
アッチのホテル、つまり2号棟の事か。
俺は2号棟には行ったことがないので詳しい内情は分からない旨を伝えると鎖は何やら考え込んでいるようだった。
この時、俺はなんだか嫌な予感がした。
彼女の腕の鎖がカチャカチャと振動していたからだ。
鎖はおもむろに俺の胴体に目を向けると言い放った。
「貴方、そのメイド服何着持ってるの?」
「え…これ?…あー、一応2着持ってるよ」
「なら、残りの1着は今どこ?」
「更衣室のロッカーに掛けてあるけど……」
「そう」と短く答えるとなにやらニヤリと口角が上がった気がした。
「貴方…今すぐそのメイド服を持ってきなさい」
「は?なんで」
鎖は俺の質問を無視して「分かったわね?」と念を押してくる。























けっこうこわかったです。
さすがに44Pもあると途中で挫折しました。
ぜひ今度5Pくらいの短縮版を書いてください。
怖くはない。だが悪くはない。
しんれいかいきみすてりーふうの、とあるぼうけんたん、ちょうへん。
主人公が俺っ娘だとは、ある一節まできがつかなかった 。
いつも空いている席の正体に続く、二作品目読ませていただきました。ジャンルとしては、心霊というより田舎・伝承系でしょうか。
師匠シリーズ、なつのさんシリーズのように登場人物に統一性があり、続編小説を読んでいるようでとても面白いし、なるほど、と思える話でした。次の話も楽しみにしています。
一作品目の話と、こちらの話は、朗読させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
俺は高2なのに1コ上の石野さん大学生なんです?