訳が分からない、説明が必要だ。
しかしそんな俺に対して鎖は選択権を与えず「さっさと行ってこい」と部屋から追い出した。
まだ仕事終わってないのになぁと頭を掻きながら俺は1度更衣室へ戻り、そのほとんど使ってなかったもう1着のメイド服を持って5号室へ戻った。
「あなた、これ洗濯してるんでしょうね」
「そっちはほとんど使ってないって」
基本的に俺は、今着てるこのメイド服を2日使って持ち帰り、洗濯して、乾燥機にかけ、次の日にはまたそれを着るというサイクルで回している。
鎖が手にしてる方はまだ未使用だ。
「そう」と小さく答えるとなんと鎖はそのメイド服に着替え始めた。
「ちょちょちょちょ!ちょっと鎖さん!?何してるんです!?」
「なにって、これからあっちのホテルに忍び込むんだから、そのために着替えてるのよ」
着替えながら話す鎖の説明をまとめるとこういう事らしい。
鎖は何故かは知らないが2号棟の12階にてこの事件の答えが見れると確信していて、なのでいっその事2号棟の12階の部屋も一室借りようと思ったのだが、何故かホテルの予約サイトでは12階のみが売り出されていないらしく、電話でその理由を訪ねたところ、12階は諸事情によりしばらく売り止めにしているとの事。
電話でいくらその諸事情の内容を聞いても教えてくれないので埒が明かないと思った鎖は一度直接2号棟へ出向いたのだが今度はエレベーターが12階にだけ止まらないというトラップに阻まれたらしい。
しかしここで引き返さないのが鎖であり、今度は従業員階段に忍び込もうとしたが従業員に見つかり「ここから先は従業員専用のエリアとなっておりますので」と止められてしまったそうだ。
その後も何度も入り込もうとした結果、鎖の美少女ぶりが災いして従業員達に顔を覚えられ警戒態勢が敷かれたらしく手詰まりになってしまったとの事。
しかし鎖は2号棟の12階へどうしても行きたいので、俺のメイド服を着て、これから乗り込もうぜという話なのだ。
この女は自身の好奇心を満たすためなら手段は選ばないらしい。
着替え終わるとメイド服に身を包んだ鎖が「さぁ、行くわよ」と俺を催促してくる。
全く、なんで俺までそんな危ない橋を渡らないといけないのか。
悪いが断らせて貰おう。
そんなに好奇心を満たしたいなら自分の力で頑張るべきだ。
それに俺はまだ仕事中なのだ。
しかし鎖はと言うとまるで俺がその提案を断るなんて夢にも思ってなさそうな表情で「何してるのよ、早くしなさい」と言ってくる。























けっこうこわかったです。
さすがに44Pもあると途中で挫折しました。
ぜひ今度5Pくらいの短縮版を書いてください。
怖くはない。だが悪くはない。
しんれいかいきみすてりーふうの、とあるぼうけんたん、ちょうへん。
主人公が俺っ娘だとは、ある一節まできがつかなかった 。
いつも空いている席の正体に続く、二作品目読ませていただきました。ジャンルとしては、心霊というより田舎・伝承系でしょうか。
師匠シリーズ、なつのさんシリーズのように登場人物に統一性があり、続編小説を読んでいるようでとても面白いし、なるほど、と思える話でした。次の話も楽しみにしています。
一作品目の話と、こちらの話は、朗読させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
俺は高2なのに1コ上の石野さん大学生なんです?