なんだ、こいつ俺に時間外労働でもさせようって言うのか。
部屋の清掃は結局私の満足いく物に仕上げられなかったのだから時給が発生してない時間もここで働きなさいとでも言うのか。
流石に手が出るぞ、胸か尻に。
鎖にどうセクハラしてやろうかと思案していた俺とは裏腹に鎖その提案は普段の彼女の立ち振る舞いからはすこし乖離したような優しさを内包していたのだった。
「ここからわざわざ電車に乗って家に帰宅するのは面倒じゃない、今日からしばらくここで寝泊まりしてもいいわって言ってるのよ」
息を飲んだ。
鎖様の懐の深さに脱帽する。
なんだと、いいのか。
ここ最上階のスイートルームだぞ。
俺みたいな庶民がこんな所で寝泊まりしていいのか。
「あーでも、最低限変えの下着とかは自分で用意なさい」と電話でルームサービスに何か料理を注文しながらそのやり取りの合間に俺へ釘を刺してきた。
先程まで疲労で燃えカスとなっていた心にまるで火が灯ったようだった。
廊下に出ると、死んだ魚のような目をしたルームサービス男が再び扉の前でうろついてるのを尻目に俺はルンルンでスキップをしながら廊下を戻って行った。
鼻歌を歌いながら更衣室でメイド服から私服に着替えているとパートのおばやん達が恐る恐る話しかけてきた。
「渡辺さん…その……大丈夫だった?5号室のお客様」
「あーもう全然大丈夫っすよ!明日からも自分があそこに行きます」
「おぉー」というおばやん達の感嘆符の声がしばし更衣室を包んだ。
おばやん達に一目置かれながら俺は退勤を済ませると母さんにしばらく友達の家へ泊まり込むと電話した。
「あそう」の一言で電話は終わった、まったく、我が母親ながら、可愛い一人娘が外泊を伝えているというのに1ミリも咎めないものだ。
まぁ俺の男っ気のなさがそれを可能としているのは明白なのだが。
コンビニで変えの下着を2着ほど購入する。
ちょっと待てよ、これってつまりお泊まりだよな。
つまり、そういう事か。
やべ、興奮してきた。
今から処女失う心の準備しとかねーと。


























けっこうこわかったです。
さすがに44Pもあると途中で挫折しました。
ぜひ今度5Pくらいの短縮版を書いてください。
怖くはない。だが悪くはない。
しんれいかいきみすてりーふうの、とあるぼうけんたん、ちょうへん。
主人公が俺っ娘だとは、ある一節まできがつかなかった 。
いつも空いている席の正体に続く、二作品目読ませていただきました。ジャンルとしては、心霊というより田舎・伝承系でしょうか。
師匠シリーズ、なつのさんシリーズのように登場人物に統一性があり、続編小説を読んでいるようでとても面白いし、なるほど、と思える話でした。次の話も楽しみにしています。
一作品目の話と、こちらの話は、朗読させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
俺は高2なのに1コ上の石野さん大学生なんです?