時刻は12時45分。
なんだ、割と早めに終わったじゃないか。
これならさっさと仕事を切り上げてサボれるかもしれない。
そんな甘いビジョンを脳内に描いていた俺は手の施しようのないアホだった。
こんな簡単なら先輩達だって匙は投げないのだ。
俺が清掃が終わった事を伝えると鎖はおもむろに椅子から立ち上がり、まるで入国審査官が書類をチェックするように、もしくは『なんでも鑑定団』の鑑定士が品物を査定するかのように、俺の清掃した部屋を審査し始めた。
「ちょっとここまだ水滴が残ってるわよ、拭きなさい」
「貴方、これシャワーの温度が私の設定した温度より2度もズレてるじゃない、元に戻しなさい」
「この浴室の飾りは全て私が完璧に配置した風水なの、1ミリもズラしちゃだめよ、ズラさずにホコリを拭き取りなさい」
「この交換したガウンすこしヨレてるわ、新しい物と交換しなさい」
「アメニティは全て余分に追加しなさい」
「枕カバーが端まで入ってないわ、入れ直しなさい」
「ベッドシーツ、この端っこの部分、すこしシワが出来てるわ、最初からやり直しなさい」
「このフェイスタオルは何?どうしてこんなにゴワゴワなの、別の物を用意しなさ『あぁぁぁぁぁぁ゛』」
結局何度も何度も鎖のダメだしを食らい、清掃が終わったのは午後の3時過ぎだった。
石野さんが仕事終わりにあんな顔をしていた理由がよく分かってしまった。
「ふん…まぁこれぐらいで許してあげるわ」
「はぁ……そりゃよござんす」
口調がおかしくなるくらいには疲れた。
俺も鎖にNG出そうかなと前向きに検討していると鎖から思わぬ提案をされた。
「あなた、仕事が終わったらここに戻って来なさい」
「え?なんで?」

























けっこうこわかったです。
さすがに44Pもあると途中で挫折しました。
ぜひ今度5Pくらいの短縮版を書いてください。
怖くはない。だが悪くはない。
しんれいかいきみすてりーふうの、とあるぼうけんたん、ちょうへん。
主人公が俺っ娘だとは、ある一節まできがつかなかった 。
いつも空いている席の正体に続く、二作品目読ませていただきました。ジャンルとしては、心霊というより田舎・伝承系でしょうか。
師匠シリーズ、なつのさんシリーズのように登場人物に統一性があり、続編小説を読んでいるようでとても面白いし、なるほど、と思える話でした。次の話も楽しみにしています。
一作品目の話と、こちらの話は、朗読させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
俺は高2なのに1コ上の石野さん大学生なんです?