昔からのお屋敷街であるこの辺りは人通りがあまりなく、街灯はポツンポツンとあるだけで薄暗い。
たまに大きな屋敷の立派な門があったりお寺や墓地があったりして、ドキリとしたりする。
「いやあ本当、今でも信じられないな。
あの日村が逝ってしまうなんて……」
日村と同じサークルだった沢田が黒のネクタイを緩めながら、しみじみと言った。
着慣れないのか喪服が窮屈そうだ。
「そうだな、人間いつ逝くか分からないものだな」
そう言って川口が大きく頷く。
ちょうどそのときだった。
フワリと暖かい風が彼の頬をくすぐり、どこからともなく声が聞こえた。
─そう、、
本当にそうだな……
「え!?」
川口は立ち止まり沢田の顔を見た。
沢田も怯えた目で川口の顔を見返す。
二人はしばらく無言で顔を見合せたまま、薄暗い路上に立ち尽くしていた。
その時、川口は左肩の辺りに生暖かい気配を感じる。
─何かがいる
そうっと左の方に首を動かしてみた。
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本当に幽霊になって現れたな…
逝っても約束は守るいい友達だな…
意外と律儀なやつでした(笑)
━ねこじろう
怖いのかはわからないけど、良いやつだよ日村は(;_;)