探している映画

ネット上にはそういうしょうもないことをする奴がいるからな

しかし、増田は首を横に振った

「いや、俺もその映画をどこかで見たような気がするんだ。どこで見たか思い出せないが・・。もしかしたら、お前と見に行ったんじゃないかと思ってな」

「いや、ないよ。そんな映画知らない」

「クソ。お前も知らないか。どこかでは見たはずなんだ。いったいどこで・・・。知りたい。知りたい。知りたい」

増田は頭をボリボリかいた

映画好きとして思い出せないのが気に食わないようだった

俺はそんなのいいから楽しく飲もうぜって言ったんだが、どうしても気になって仕方ないようだった
結局、少し飲んで早々にお開きになった

それからも増田のやつから何度も映画を知らないかと質問された

一年前に見に行ったホラー映画に似たような場面がなかったか？
お前の友達にも聞いてみてくれないか？
本当に知らないか？　本当は知っているじゃないか？　本当に知らないか？

いい加減しつこいので俺は増田を一時ブロックすることにした
落ち着くまでは関わるのはやめよう

それからしばらくして別の友人から連絡がきた
増田

と連絡が取れなくなったという

「俺もなんか映画の質問をしつこくされてウザくなったからブロックしていたんだ。で、そろそろ落ち着いたかと連絡してみたんだが返事が来ない。電話もしてみたが一向に出ない。お前、何か知らないか？」

俺は不安になってきた
あいつノイローゼにでもなっているんじゃないか？
俺は増田の住むアパートに行くことにした

どこにでもあるようなアパートの三階
そこに増田は住んでいる

チャイムを鳴らしてノックする

「おーい！　増田！　俺だ！　いないのか！？」

返事がない
いないのだろうか