どういう理由かよく分からないが、あの事件で頭に負傷したことがきっかけで俺にはあちら側の者たちが見えるようになったのだと思う。
多分俺が気付いてなかっただけで、彼らはもう随分前から店にはいたのだろう。
道理で以前からたまに変な物音が聞こえたり、おかしな声がしたりしていたのかと俺は妙に納得する。
彼らは皆持っていき場のない強烈な怨念を抱いていた。
でもなぜ俺の店にはこんなにあちら側の者たちが集うのか?
俺はただ頭を傾げるだけだった。
※※※※※※※※※※
そしてあの男が店を訪れる。
それはとある日曜日の朝のことだ。
─からからからぁぁぁん、、、
入口の扉が開き、男が店に入ってきた。
いつものごとくカウンター奥に立ちその風体を一瞥した途端、俺ははっと息を飲む。
伸ばし放題の汚ならしい髪に真っ黒に汚れた顔。
泥だらけの作業着を身に纏い靴は履いておらず裸足だ。
年齢は50から60くらいだろうか。
この男、、、見たことがある、、、
そうだ、、、この間の朝ホームに寝ていた、あの男だ。
男は険しい顔でしばらくグルリ店内を見回していた。
やがておもむろに歩きだすと、カウンター端の席に座る。
それから俺の顔を見上げ開口一番こう言った。
「なんだ、この邪気に溢れかえったこの店はよ?」
驚いた俺は思わず男に返す。
「あんた、見えるのか?」
男はそれには答えず、また店内を見回し始めた。
それから男は尋ねてくる。
「あの後ろの入口辺りで壁を叩いている男の子、、いつ頃からいるんだ?」


























「焼け跡から4人の遺体が発見された。」って書いてるのに「Aさん(55歳)、その妻Bさん(43歳)、息子のCさん(23歳)」で3人しかおらんない…?
やばっ!おっしゃる通りですね
ご指摘ありがとうございます
お恥ずかしい限りです
すぐ訂正します
━ねこじろう