告発の手紙:県知事の闇
投稿者:セイスケくん (32)
短編
2024/11/25
18:33
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その言葉の意味を、誰も知ることはありませんでした。
そして山田さんが持っていた「裏金リスト」の本物も、彼の死とともに姿を消してしまいました。
その後、県議会は特別な調査チームを作り、村上知事の不正を調べ始めました。
しかし、証拠は次第に曖昧になり、真相は霧の中に消えていきました。
村上知事は「自分は何も悪くない」と言い続け、次の選挙でも当選しました。
その選挙には多額のお金が使われたと噂されましたが、証拠は見つかりませんでした。
知事として再び仕事を始めたその日、村上さんの机の上に一枚の紙が置かれていました。
それは、告発の手紙のコピーでした。
村上さんはそれをしばらく見つめると、秘書に命じました。
「他にリストが残っていないか確認しろ」
午後の日差しが県庁の廊下を照らし、壁に映る木々の影が静かに揺れていました。
しかし、その光の奥には誰にも見えない闇が広がっていました。
長い間続いてきた権力争いの闇は、今も静かに息づいているのです。
そして、その闇を終わらせる方法を知る者は誰もいませんでした。
廊下を歩く職員たちは、互いに顔を見合わせることなく、ただ足音だけが響いていました……
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