告発の手紙:県知事の闇
投稿者:セイスケくん (32)
地方都市の中心にある県庁は、とても大きく、静かな建物でした。
しかし、その中では誰も知られたくない秘密がたくさん渦巻いていました。
職員たちは廊下ですれ違っても、相手の顔を見るのを避けるように目をそらしました。
みんなが何か「触れてはいけないこと」を感じ取っていたのです。
その静けさを破ったのは、一通の告発の手紙でした。
手紙には、知事の村上さんが進めている「町を良くするプロジェクト」で、特定の会社をひいきしたり、不正なお金の流れがあると書かれていました。
手紙を書いたのが誰なのかはわかりませんでしたが、県庁の誰かではないかという噂が広がりました。
「山田さんが書いたんじゃない?」
そんな声が聞こえ始めると、警察が調査を始めました。
ちょうどその手紙に書かれていた内容が、山田さんが担当していたプロジェクトと重なっていたからです。
そして、山田さんのパソコンから変なメールが見つかったことで、彼が手紙の送り主だと疑われてしまいました。
山田さんの机は捜査され、パソコンの中から「裏金リスト」というファイルが見つかりました。
そのリストには、特定の会社やグループへの不正な支出や、贅沢な食事に使われたお金の詳細が書かれていました。
しかも、そのリストには山田さんの名前も含まれていたのです。
しかし、実はそのリストは、山田さんが自分の潔白を証明し、不正を告発するためにまとめていたものでした。
山田さんは、自分が関わらざるを得なかった不正の全貌を整理し、「誰かに真実を伝えたい」と考えていたのです。
ただ、リストをどう扱えばいいのか迷い、結局そのままパソコンに残してしまっていました。
そのため、逆に自分が悪いことをしていたと疑われてしまったのです。
「もしかして、県庁全体が悪いことに染まっているのかもしれない」
捜査に関わる人物がそう呟いたことで、職員たちの間に不安が広がりました。
そして、事情聴取を受ける前夜、山田さんは自宅で命を絶ってしまいました。
机の上には短い謎の手紙が残されていました。
「すべてを守れなかった……」
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