ただそこにいるだけのものたちへの鎮魂歌
投稿者:ねこじろう (147)
長編
2024/11/01
03:22
2,191view
それからアパート近くのスーパーに行く。
その日スーパーはイベントを催していたようで、店内には人が多く活気があった。
それからそこの憩いの広場のベンチに並び座り、仲良く彼女手作りの弁当を食べた。
お金のない二人は、よくそこでそうしていた。
すると広場真ん中にある噴水の近くでおどけていたピエロが二人に近づくと、白い風船を一つ瑠美に手渡す。
彼女はたいそう喜んだ。
それから大島が瑠美に北部に連なる山々の一つに出掛けようと提案するが、彼女は危ないから止めようと言う。
彼は嫌がる彼女を半ば強引に誘い店内を出ると、駐車場まで行った。
そして彼女を後部座席に座らせバイクにまたがりエンジンを吹かせ駐車場を横切ると、そのまま勢いよく県道に飛び出す。
その時だ。
手前から1台の大型トラックが猛スピードで迫ってきていた。
次の瞬間強烈な金属の衝突音が響き渡るとともに、晴れ渡る秋空に白い風船が一つ舞い上がった。
【了】
前のページ
6/6
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 13票
死後の世界だったのか!