短編
2024/10/13
02:22
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ハクでした。
への字の黒い口から、赤黒い液体が流れた白猫のぬいぐるみは、琥珀色の目を爛々と輝かせ、しかし私の血で所々染まって汚れていました。
それから。
私は母に言って、近くの神社でお焚き上げをしてもらいました。
パチパチと火に焚べられたぬいぐるみは、あっさりと燃え上がって、黒く炭になっていきました。琥珀色の瞳が、何故だかこちらをじっと見つめている気がしました。
今でも手の甲の傷跡が消えません。
たまに鈍痛がします。
そんな日は、痛みに耐えながら、琥珀色の目をした白猫と一緒に寝ています。
あまり寂しくありません。
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