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心霊

申し訳ありませんさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

白猫
短編 2024/10/13 02:22 900view

ぬいぐるみの話です。

幼少期、今のようなゲームやスマホがなく、人形遊びとか、ごっこ遊びとか、そういったもので遊ぶことが多かったです。
白い猫のぬいぐるみは、誕生日に玩具屋さんで母が買ってくれました。
琥珀色の目をした、両手で抱きしめられるサイズの白い雌猫のぬいぐるみに、私は『ハク』という名前をつけました。

ハクはいつも一緒でした。
寝る時も、出かける時も、ご飯を食べる時も、私の頭の中で、彼女はいつも主役でした。
人付き合いが苦手で、あまり友達がいなかった一人っ子の私にとって、彼女は親友みたいな存在でした。

ある夜、いつものようにハクを抱きしめて布団の中で微睡んでいたら、急に手の中で温かさを感じました。私はその温かみが何なのか確かめたくて、眠い瞼を薄く開けて顔を下に向けました。
琥珀色の瞳がこちらを覗いていました。
それは1回、2回と瞬きをして、生きている猫のように光を持っていました。

私は驚いて、覚醒しました。
顔の前にハクを持って、確かめて見ました。
しかし先程の温もりは消え、瞳の光は造り物に戻っていました。

そんなことが数回ありました。
私はそれを怖い、というよりハクが生きているかもしれない嬉しさのほうが大きくて、そのうち話し出してくれるんじゃないかと期待して、ますます彼女を見ている時間が増えました。

しかし唐突に彼女は消えました。
一緒にご飯を食べようと、食卓に置いてトイレに行った後、彼女は消えていました。
家中を捜しましたが、その日は結局見つからず、私は久しぶりに1人ぼっちの夜を過ごしました。
自分以外何もないベットの上で、ハクがいないとこんなに寂しいんだ、と思いました。

その夜、私は夢を見ました。

ハクが生きていて、部屋を駆け回り、私の膝の上でニャーと鳴くのです。
やっぱり生きてたんだな、と私は喜んで、リビングに行って、冷蔵庫のミルクを注ぎ、餌をたっぷりとあげて、喜んで食べるハクを撫でてあげて……
そして、ふいに、ハクが私に噛みつきました。

あまりの痛みに、私は跳ね起きました。
じっとりとした汗が気持ち悪く、息遣いが荒くなっていました。
まだ真っ暗な部屋で息を整えます。
落ち着いてくると、右手に明らかな痛みがあり、急いで部屋の明かりをつけました。
手の甲に、はっきりと動物に噛まれたような跡がありました。それもかなり深く、傷に穴が空き、血が手の先から滴っていました。
私は唖然として、しばらくそれを眺めていました。
ふと我に帰り、足元を見ると、白い猫のぬいぐるみが転がっていました。

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