熱中症
投稿者:ねこじろう (147)
長編
2024/08/02
07:33
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鈍い打撃音とともに頭部に高圧電流が直撃したような強烈な痛みを感じると一瞬で目の前は真っ白になり、そのまま玄関口に倒れこんだ。
男は俺に馬乗りになると「チキショーチキショー」と叫びながら、さらに2度3度と鉄パイプを振り下ろす。
やがて俺は痛みを感じなくなってきて、目の前が薄いピンク色に霞んできた。
※※※※※※※※※※
それは令和5年8月某日。
その日は記録的な猛暑日だった。
33歳の会社員Sは午後7時頃、商店街の歩道に立つ電信柱の袂に寄りかかったまま意識を失った状態で通行人に発見される。
彼は仕事の帰り道だったようで、その日の異常な暑さと疲労でぐったりとなっていたようだった。
すぐに近くの病院に救急搬送されたが、午後8時前に死亡が確認される。
死因は重度の熱中症。
彼は死の直前まで恐ろしい幻覚に苛まれていたのか、最後まで意味不明な言葉を羅列しながらうなされていたそうだ。
【了】
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嫌ー!
コメントありがとうございます
━ねこじろう
臨場感ありますね。
,ありがとうございます
━ねこじろう
応援してます。
ありがとうございます
━ねこじろう