奇々怪々 お知らせ

ヒトコワ

バクシマさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

私 そこに吊られていますから
長編 2024/07/18 13:36 5,287view

7月13日⑥
今週も怪談朗読生配信をつつがなく終えることができた。
さて、それから数日が経った。
ああ・・・腹が痛い・・・
こんなときは豆腐だ。
スーパーで豆腐を買おう!
そして
スーパーの豆腐を 
「ある」のがいけない 「ある」のがいけない
と呟きながらカゴに入れる。
最近、食事に味気なさしか感じない。
多分そろそろ、俺はなんらかの怪異になるだろう。
そんなとき、またしても奴からメッセージが届いた。
「先日お伝えしてました怪談が完成しました。どうぞ御一読くだされば」
読むの面倒くさいなあ。
結局、メッセージが来てから数日して読んでみた。
「なんだこりゃ?」

それは俺が6月1日からやっている怪談実況を俺視点で追って行くという内容だった。
「俺をテーマにってそういうこと?」
これのどこに怪談要素があるのだろう。
しかも、所々に俺がSNSに上げている内容が絡んでいる。
加えて、タイトルが妙だった。内容と微妙に噛み合っていない気がする。
うーむ。
これはさすがに苦情のひとつでも言った方が良いのかもしれない。
俺はバクシマに抗議のメッセージを送るべく、SNSで公開されているバクシマのページへ飛んだ。
しかし、そこには予想外の文面が投稿されていた。
「バクシマの妻です。突然の報告になりますが、
本日、夫が他界しました。
関係の皆様には、平素より大変お世話になっておりました。
最近は、とあるVtuberの方が自分の怪談を読んでくれていると、大変喜んでおりました。
重ねて、皆様のご愛顧に感謝いたします。
夫との思い出を振り返りますと、大変に楽しい日々でありました。
夫と共に廃墟キャンプや幽霊の手形集めに行ったときの思い出が、昨日のことのように思い出されます・・・(以下略)」
驚いた。バクシマ、死んだのか。

っていうか、あれで実話怪談なのかよ。
・・・うーむ。
苦情を言おうと思っていたけれど、本人が死んでいるなら仕方ないよなぁ。
大した縁でもないが、御悔やみのメッセージを送ってみるか。
「このたびは誠に、ご愁傷様でした」
しばらくして返信が来た。
「ああ!茶幻さんですね!?
夫は生前に、あなたに作品を朗読していただけたことを大変に喜んでいました。
また、あまりに褒めてくださるものだから、仕事で満たされない承認欲求が解消され、あまりに気持ちひぃぃものだから、その配信を肴に晩酌をするほどでありました」
キモい 正直にキモいと思った。
「いえ、まあ、おそれいります・・・」と返す。
さっさとこのやりとりを切りたい。
しかし、俺のそんな思いと裏腹に、バクシマの妻から更にメッセージが届いた。
「夫は生前、茶幻さんが◯月◯日にSNSに投稿されたラーメン屋さんにずっと行きたがっていました。
夫が亡きいま、代わりに私がそのお店に行って、夫の供養をしてあげたいのです。
どうか、そのラーメン屋さんの名前を教えて頂けますか?」
俺は、それぐらいなら良いかと、

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