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不思議体験

れふてぃさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

オカマバー
長編 2024/07/14 16:55 3,380view
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備忘録も兼ねて書いていく。

以下、私のスペック。特定防止のため、一部フェイクを混ぜている。

年齢:27歳
性別:男性
職業:会社員および占い師
手術に失敗し、下半身不随で車椅子生活をしている。

時は2020年、世間が感染症に騒いでいた頃である。それまでの私は人間関係の構築にうまくいかず、インターネットで問題を起こしては転生を繰り返すということをしていた。

というのも、私が育った地域は極めて閉鎖的で、地域の習わしに従わない者は村八分にされる慣習があったため、よそ者の私はその対象になった。私は生まれつき体が弱く、生まれた地域では持病の治療が難しかったので、その地域にある病院で入院しながら暮らすことになった。

両親は治療費を稼ぐために地元で働いており、私との面会は週に一度だった。私はその週に一度の面会がきっかけで村八分を受けることになった。理由はなんとも馬鹿げたもので、面会に来れない親のために気を使うという決まりがあったらしく、それを怠ったとして制裁を受けることになった。村八分の詳細はここでは伏せるが、大人も子供も一緒になって私をいじめたぐらいにしてほしい。あの時の折檻は今でも思い出すと身の毛がよだつほどである。

そんなこんなで私は人、特に女性に対して恐怖心を持ったまま大人になった。ある時は自分を大きく見せようといきり立ったり、女性は怖くても恋人が欲しかったので仲良くなれそうな女性に執着したりしていた。そんな状態でインターネットをしていたので、すぐに都合が悪くなりアカウントを消したりしていたわけだ。

身から出た錆と言われればそれまでだが、少々気になることもあった。ある時から私は不自然に他人の怒りを買うようになった。無論私も悪かったのだろうが、そこまで反感を買うような内容だったかと言われれば疑問が残るような内容だった。例えば、私と友人が遊びの約束をした際、私にどうしても外せない用事ができてしまい、予定を変更せざるを得なくなってしまった時、当人間で話し合いをして「ごめんね」と謝罪して終わったことだが、他の人が文句を言ってくる…といった感じだ。私の悪評を聞いてというのであればまだ分かるが、その人はまるで自身が当事者であるかのように怒り狂った。「約束を守らないなんてどうかしてる!」「あいつは人格破綻者だ!」これを当人に言われるのであれば納得できるが、部外者に言われることが私とその友人には理解できなかった。後日、その怒り狂った人に話を聞いたところ、「なぜだかお前を見ていると怒りが湧いてきて仕方がなかった。冷静になった今では何でこんなことで…?」と本人も首を傾げていた。その後、その人とも和解はできた。

そういった出来事が立て続けに起こることがあった。加えて私の周りでもやたら怪我をしたり病気になったりなどが続くようになり、私は周囲の人間から離れ、ぼっちになることを選択した。そんな中、母方の祖父が突然病に倒れ帰らぬ人となった。その後に私も病気になり、しばらくの間寝たきりの生活をしていた。そんなことがあったもので私は精神的に参ってしまい、心のよりどころを探すため、なるべくしゃべらなくていいような純粋にくつろげる場所を探していた。

そんな中、一つの書き込みに目が留まった。「視えるオカマのズバリ言っちゃうオカマバー。料金ただの持ち込みOKオンラインで飲みましょう!」こんな感じだったと思う。物珍しさとインパクトのある書き込み…何よりも料金タダというのが素晴らしかった。社会勉強も兼ねて私はそのゲイバーに加入申請をし、無事に申請が通り入店することになった。顔出し不要とのことなのでマイクのみをオンにしてその飲み会に参加した。

すると開口一番、店の店主であるママが私に対してこう言った。「とんでもない化け物が来たわね…ここまではっきりいるのも珍しい。」初対面の人間に対して化け物呼ばわりである。これがオカマの洗礼かと驚いていると、店主のママはさらに続けた。「あーなるほど守護霊もとんでもなく強いのか…だからあんた生きていられるのね。」

このオカマ自己完結である。

私も実は霊感がある。といっても姿を見たり気配を感じる程度である。自分のそういったものに関しては全く関心がなかったので驚いていると、店主のママは自己紹介を始めた。

「あーごめんなさい…私の名前はF。このバーの店主をさせてもらっているわ。あなたは主太郎くんね。」

「はい。よろしくお願いします。お聞きしたいのですが先ほどの話はどういうことなのでしょう?」

「あんたも見えるなら多少はわかるでしょう。あんたについてる物の話よ。」

私はその発言に驚いた。ママには私が霊感があることは全く話していなかった。

「あとね、あんたのお父さんとんでもないロクデナシだわ。女と借金を抱えているでしょう?」

これも事実だ。私の父はいわゆるボンボンで、このことがきっかけで母と離婚した。私はもう、あっと声を上げてしまった。本当にこういった能力を持った人がいるのだとただただ感心するばかりである。

「たぶんだけど不幸の要素はお母さんが持っている。お母さんだと身がもたないし、あんたが半分引き受けてる。あんたの目の前に起きているいざこざはそれが原因かもね。でもとてつもない守護霊があなたを守ってくれている。人生で何度か死にかけてると思うけどそれを助けてくれたのもご先祖様だと思うわよ。」

私は自分の相談したかったことも先に答えを出されてしまいもう何もしゃべれなくなってしまった。そしてママは対処法を教えてくれた。なるべく近くの神社に行ってお祓いを受けること。お祓いが難しければ縁切り神社で縁の精算をすること。この感染症が落ち着いたらなるべく早く行くことを勧められた。

「…それはなぜですか?」

私は恐る恐る聞いた。

「あんたの父親の神事のやり方がでたらめで、土地神様がお怒りなんだと思う。縁の清算をしていないから、あなたたちは縁者ということになる。となるとその怒りの矛先があなた達に向くこともありえるかもしれない。縁切り神社と呼ばれる神社は元来そういった神社の役割を持った場所なの。だから気安く行っていい場所じゃない。お礼参りはなるべく一年以内に行きなさい。」

これも当たっていた。父は決まりに縛られることが大嫌いで、なんでもかんでも自己流でやってしまう節がある。ABCDという順序で作業を進めるとしたらACBDと順番を入れ替えたり、自分流のお守りとして神社でいただいたお守りの中身を捨てて自分の作った御神体と入れ替えたり…オカルトに興味がなくても不敬なのは分かるであろう。

「ということは生霊は父ということになるのですか?」

「いやあんたの父親じゃない。多分あんたの彼女だね、元カノか?」

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