代議士と黒い救急車
投稿者:とくのしん (58)
「本当にご苦労だった」
と一枚の小切手を渡してきた。
その小切手は白紙。好きな金額を書けと言われたが、父は断ったそうだ。
「その小切手はさ、退職金とは別の”口止め料”だったんだろうな。政治家の秘書なんかやっているとなぁ、自分が汚れていくのがよくわかる。身も心もボロボロになりながらな。それでも何とか踏みとどまれたのは、お前たち家族の存在だ。だからどんなに自分が汚れたとしても、家族だけは守ろうと心に決めていた。
そうはいっても仕事優先でお前たち家族を蔑ろにしてきたことは否めない。罪滅ぼしじゃないんだけど、その金を受け取ってお前たちに金を残すことが正解かもと考えた。けれどそんな汚れた金でお前たちを贅沢させたところで、結局は同じ穴の貉じゃないかと思ったんだ。まぁどっぷりと頭の先まで浸かった俺が言う事じゃないんだけどな。最低限の金しか残せないことは申し訳なく思うが、これは父としての最後の我儘だと思って許して欲しい。
・・・そう言い残し、亡くなった父。
「最後まで誇り高い父だったと思いますよ」
「そうでしょう・・・。私の父も生前そう言っていました」
「それで先生、私を秘書にしたいというのはどういう了見で?」
「いえ、生前のお父様から“色々と”お伺いかと・・・」
男は白紙の小切手を笑顔で差し出してきた。
「私の秘書になっていただけるのであれば、お好きな金額をお書きください。お父様が御受けになるはずのものでした。そうお考えいただければ・・・」
目の前で笑顔で話す男は、例の代議士の息子である。
黒い救急車って殺医ドクター蘭丸のやつか!
でも悪人は助けないだろうから別の組織かもしれない(笑)
3億とか5億とか書いちゃえよ!
取り込まれる
いや、既に取り込まれている
自衛隊の救急車には本当に黒い(厳密には極めて濃い緑の)車体のものがあるね。