解体業者の怖い話
投稿者:とくのしん (65)
すぐに警察と救急、消防もやってきた。現場で起きたことを角田さんは事細かに説明をした。警官と消防隊員が半壊になった家に近づいて様子を伺っていた。
「到着から30分くらいしてかな、年配の警察官に呼ばれたんだよ。それで家に入っていったという人物について訊かれたから、俺はこの家の住人の田宮さんだと伝えた。すると怪訝な顔をしているんだよ、その警官がさ。そのときにおかしいなぁ・・・とは思った。そしたらさ、その警官が言いづらそうに説明を始めたんだよ。
“あなたを疑うわけじゃないんだけど”って前置きをしたあとに、ここの家主の田宮さんですが、
3週間程前に自殺されているんです。
って・・・だから人違いじゃないんですか?って言われたんだけどさ、それ聞いて俺も頭真っ白になって・・・」
警察の説明ではなくなったことは伝えられたが、詳しい内容までは教えてくれなかった。後日知ったことだが、田宮さんは近くの雑木林で首を吊っていたそうだ。この話は福田さんも知らなかったらしく、契約のあとすぐに亡くなっていたことがわかった。
「福田さんも一度だけ解体現場に来たんだよ。そのときに田宮さんと少し話をしている。田宮さんの姿を見たのは俺と福田さんだけなんだけどさ。そのとき俺たちは普通に会話していたんだぜ?あれが幽霊だなんて今でも信じられないよ」
そこまで聞いて、私は下賤な話だが解体代金はどうなったか?を聞いた。代金は契約後すぐに振り込まれており、取りっぱぐれはなかったと田宮さんに感謝していた。
「俺も色んな解体現場に携わってきたけどよ、これほど後味の悪い現場は初めてだったよ。もちろん経緯が経緯だけにさ、そういうのもあったんだけど。何より、一緒に現地調査したときの田宮さんの表情が忘れられない。家族を思い続けているのが伝わってきたしさ。言ってたよ、“もしあの日に出張に行ってなかったら”とかそんな後悔の言葉を口にしていたっけ。家に入るのも嫌だって言ってた人がさ、最後は想い出の家と一緒に・・・って思ったんだろうなぁ。
それとさ福田さんに聞いた話だけど、田宮さんは家族が亡くなったあともずっとあの家のローンを支払っていたんだって。自身は仕事も辞めてどうやってお金を工面していたのかはわからないが、せめて家だけでも残そうと思ったんじゃないかって。でもそれも立ちゆかなくなったんだろうな、死んだときにかなりの借金を抱えていたらしい。行き詰っていよいよどうにもならなくなったんじゃないかって言ってたよ。」
話し終えた角田さんが寂しそうな表情を浮かべていたのが印象的だった。
後日談として、その土地は更地になったあと、大手ハウスメーカーの建売が4棟建った。人気エリアの外れということで、少々値段は安めだったこともありあっという間に完売になったそうだ。地元の人間は“あんなところ”と敬遠したが、事情を知らない人にとっては魅力的だったようである。
が、完成まもなく4棟全て埋まったが1年も経たないうちに2棟が売りに出された。その後すぐに買い手がついたものの、その人も1年経たずに引越していった。当初買った4棟のうち、1棟だけが住み続けているそうであるが、現在4棟のうち2棟が空き家となっている。福田さん曰く、もしかすると田宮さん云々ではなく、あの土地自体に何かあるかもと言っていたそうだ。
「俺たち解体業やっている人間のほとんどは、意外と地鎮祭とかそういうの気にするのよ。やっぱり何かあったら怖いし、実際そういうの甘くみて痛い目にあっているなんていう同業者はごまんといるからさ。幸い今回の件では、そういった事故はなかったけどな。まぁ、あんたも怖い話とか好きならそういうのはちゃんと覚えておいた方がいいぞ」
角田さんはそう言って話を締めくくった。
包茎様の後じゃなに出してもダメだな
嫉妬してないで投稿しろよw
↑それなら自分でお書きになってみてはどうですか?
いつも楽しく拝読させて頂いております。誰が何と言おうと素晴らしい文章力と内容です。応援しております。
なんか新興宗教みたいでこわいね。
たくさんの投票ありがとうございました。
とくのしん