という夏の殺虫灯のような不快な音が聞こえた。それはとてもくぐもっているのだが明らかにこちらに向いて聞こえる。遠くにも感じるし、耳元にも感じる。平衡感覚が狂ってしまいそうな不思議で不快な音で、今思い出しても気分が悪くなる
視線はスマホ画面だがどうにも気になった私が目の端で気付かれないように様子を伺うと、女性と犬はすれ違う瞬間から私の歩きと共に顔をこちらに向けて、見えない目でこちらを追っていた
まとわりつく様な不快な視線に私はサーっと血の気が引くと共に冷や汗がドッと吹き出るのを感じた。これを気取られないように、早くここから立ち去りたい。でもここで走り出したらダメだ…と
頭をフル回転させて最大限の聞こえてません、見えてません。をアピールしつつ女性から徐々に離れた
その後も背中にまとわりつく嫌な視線を感じたが、それも暫くすると消えて。そうっと振り向くと女性と犬は跡形もなく消えていた
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私はすぐに仲間達と合流したい気持ちを抑えて、わざとその道を進み大回りをしてから中心のベンチに戻った
仲間達はそろそろ帰ろうか、と集まっていて。私に対して「どこまで行ってんだよー」と待たされた不満を笑いながら口々に言ってきたのだが
私の様子がおかしい事に気がついたのか、見えない所で何かあったのでは無いかと心配してくれた
私は周囲を見回してから小声で、ここにあの(すれ違ったら)道から犬を連れた女性が来た?と聞いた。私があの辺ですれ違った人!!と言うと
私と入れ違いにベンチで休んでいた子が
〇〇さん(私)が歩いて行くのはずっと見えてたけど、すれ違うも何もずっと1人だったじゃん
そう言って私が怯えているのは暗がりが怖かったのかと笑っていた。それ以来私は昼でもその池沿いの道は絶対歩かないようになった
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どうでも良い私の見解を最後に書かせて頂く、怪奇小話を書くようになってから、同好の士の話もよく読むようになったのだが、まさかの顔に穴が開いている。という話は地域に関わらず結構ある事のようで
それは共通の同じ怪異なのではないか?と似たような方の話を読む度に思うのだ
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