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心霊

埜威さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

赤い橋に行った話
短編 2025/08/06 18:33 1,023view
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神流湖(かんなこ)という場所がある。埼玉県と群馬県の県境にある所謂心霊スポットとして有名だろう

道の左側面には崖下に神流川が流れていてその途中にある人工湖が「神流湖」とそれにかかる赤い橋が「金毘羅橋」で、その神流湖に友達のミキちゃんと休日のドライブに行った時の話をする

休日の昼過ぎに職場の友達ミキちゃんから突然「ドライブに行こう」と電話が来た。助手席に乗ると向かったのは神流湖で昼から趣味の悪い場所に向かうものだと少し呆れた覚えがある
道から湖側に坂を降りると湖を渡る金毘羅橋を渡れる。ここも心霊スポットとして有名だが昼間は景色も良く少し青みを帯びた湖面と赤い橋が綺麗だった

橋の袂にはいつ行っても必ずある事でお馴染みになっている行方不明者の捜索願いが貼られていた。その日は三人の探し人の貼り紙(要は車を置いて居なくなった=橋から…)を読んだり、下の湖を覗き込んだり
以前夜に来た時より怖くなかったねと話しながら再び車に乗りそのままA井さん家(ここも有名な心霊スポット)へ
鬱蒼と緑が深くなり薄暗くなっていく林道を走っていると運転していたミキちゃんがいきなり車を停めて

やばい。ごめん…

と言い出した。え?どうした?と聞くとミキちゃんはポロポロと涙を流し始める。この時点で私には変な感じは無く、ミキちゃんの体調が原因か?と思った

ミキちゃんは真っ青な顔で俯いたまま運転を変わって欲しいと言うので、運転してるうちに車酔いでもなったかな?と心配になりつつ快諾して家まで1時間半の道程を運転交代しながらミキちゃんが落ち着くのを待った
途中でミキちゃんはパチンコかゲーセンに寄って欲しいと言うので自宅近くのゲーセンに向かった

■■

こういう事は多分十人十色なんだと思うが、あとから聞いた話だとそういった変な体験から「人が多く煩い場所に行くと楽になる」これがミキちゃん流だったらしい。それと煙草の煙。当時はまだ分煙化されてなかったのでゲーセンのコインゲームコーナーの灰皿を使いながらミキちゃんが少し落ち着いて話してくれた

金毘羅橋で下を覗いたら首に違和感があった。首を絞めるのでは無く、下から何かが首にぶら下がってる感覚に近い。かと言って引き摺り込もうという感じでもければ苦しくも無かった。場所も場所だし弱いモノに下から引っ張られる程度の事は想定内だし。何より同じように変なモノを感じる友達(私)が平気そうだから大丈夫だろうとその時はスルーして車に乗り込んだ

ところが橋を離れても重さはドンドン増すばかりでA井さん家ら辺でとうとう首が動かなくなり車を停めて、自分の足元(アクセルやブレーキペダルの辺り)を見ると青い長袖の服を着た若い男性の頭と腕が生えていた。その腕は異様に長くミキちゃんの首に伸びていて、ニヤニヤと見上げて笑いながらぶら下がっていたと言う

震えが少し引いた様子のミキちゃんの話を聞いて私は1つ思い浮かぶ画像があった
そのぶら下がってきた青い服は作業着では無いか?そして20代前半男性は髪の毛を縛った金髪ヤンキー系では無いか?と聞いてみる。驚きながら頷くミキちゃんに

あー…それは金毘羅橋の「探し人」の写真の人だね

探し人の張り紙なんて滅多に見られないぞと失礼ながら興味本位で見ていた。その中の青い作業着を着た笑顔でピースする男性の写真を見た時、私も一瞬ズルっと足首を掴まれたような感覚があった。それは湖に引きずり込む程の力でも無かったし、隣のミキちゃんの様子も普通だから気にしなくていいだろうと思っていたのだ

実はほぼ同時にミキちゃんは橋の下に引っ張られていた。まさかのお互い反応が薄くて変化に気付かなかった…という訳だ

■■■

その後ミキちゃんの彼氏に電話して、彼氏の友達で神主の息子(元ヤンの神職見習い)に連絡して貰い。その父上にしこたま怒られつつ私達はお祓いして頂いた
今回はミキちゃんが主犯なので私に害は無かったし、ミキちゃんもお祓いして貰って首が楽になった~と喜んでいたのだが

セーターから覗くミキちゃんの白い項には両側から4本ずつ、計8本の赤く短い線が残っていたのはこれ以上怖がらせては可哀想なので黙っておいた

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