体の上を這うナニか
投稿者:みーやっき (2)
経験上、金縛りから始まる明晰夢は十中八九、怖い夢だった。
先ほどのバタンという音はリビングのドアだろう。
バタンという音がしたということは、何かが部屋に入ってきて、扉を閉めたに違いない。
意識はあるものの、体が動かせないし、目も開けられなかった。
何もできない無力感の中で次に何が起こるか待つしかなかった。
すると何かが自分の身体に触れる。足先だ。
その感触が足先から足首、ふくらはぎ、ふとももと徐々に自分の身体の上を這うように上ってくる。
ゆっくりとゆっくりと這いあがってくる。
それが胸まで達したときに、自分の右側のソファーの一か所が沈んだ。
おそらく這い上がってくるために、そいつがそこに手をついたに違いない。
ソファが間接的に動く感じに、ここまでリアルなんて本当に夢か?もしくは本当に変質者が侵入してきたのか?と考える。
明晰夢だと分かっていても、毎回現実かもしれない・・・と考えてしまう。怖い思いは消せない。
不意に怖くなって、大きな声で叫びたかったが、金縛りなので声も出せない。
それが徐々に体を這いあがってきて、ピタリと止まった。
その感覚から、いま相手の顔がほぼ目の前にあり、ぴったりと体を重ねた状態になっていると感じる。
しかも相手は女性のようだった。
なぜなら、頬に相手の髪が触れているのが感じられる。長い髪だ。
さらに相手の胸と自分の胸が重なりあっている部分がとても柔らかい。まさに女性のそれだった。
また相手の腕が自分の腕に触れている部分がとてもすべすべとした感触だった。
「えっ?女の人?女性の変質者?」と思った瞬間、相手の手が自分の身体をゆっくりとまさぐりだした。
しかも強く乱暴な感じではなく、指先でなぞるような感じだ。
正直それはとても気持ちがよかった。まさに女性から愛撫されているような感じだ。
手が服の中に差し入れられ、5本の指で上半身をまさぐられる。
先ほどまでの恐怖から一転して、急に気持ちいい感触が襲ってくる。
「あれ、そっち?」
明晰夢では怖い体験をすることもあるが、何回かに1回かはエッチな夢で気持ちのいい思いができることがある。そして明晰夢でのそれは、リアルよりも遥かに気持ちいいことが多い。
「今回の夢はこっちか・・・」と急に夢を楽しもうという気持ちが湧いてくる。
実際に指が体をなぞる感触が肌の上に再現される。
それは触られるというイメージや記憶ではない。いま実際に自分の肌の上に指が這っていた。
あまりのリアルさに、もしかすると本当に変質者が部屋に侵入してきたのかもという怖さが頭をよぎるものの、いやらしく這いまわる手に、次第に快感の方が勝っていく。
怖い体験しましたね。