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心霊

ねこじろうさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

リュックに入っていた古いテープレコーダー
長編 2024/03/07 00:08 12,502view
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Sはレコーダーを地面に置きゆっくり立ち上がると、男に誘導されるようにフラフラと歩きだす。

だが砂利地を横切り立ち並ぶ木々の手前にたどり着いた時には、もう男の姿はなかった。

それからそこで彼は立ち尽くしたまま、じっと木々の狭間を眺めていた。 

しばらく眺めているうち、彼はハッと息を飲む。

立ち並ぶ木々の狭間の奥まったところに、男の子がポツンと立っているのがぼんやり見えたからだ。

それは黄色い野球帽らしきものを被った白いTシャツに黒い半ズボンの男の子。
まるで陽炎のように微かにユラユラ揺れている。

Sは「お~い」と叫びながらその子の立っているところに向かって走りだす。

すると男の子は逃げるように木々の間をさらに奥へと走りだした。

懸命に呼び掛けながら小さな白い背中の後を追うS。

目前に次々現れる木々をすり抜けながら、彼はひたすら男の子を追い続けた。

すると突然彼は切り株に足を取られ、派手に前に倒れこむ。

「痛あ」と額を押さえて呻きながらゆっくり立ち上がると、そこは背丈くらいの草が密集している場所だった。

進路を塞ぐ草を左右にかき分けると、目前に忽然と一台の車の車体の一部が現れた。

※※※※※※※※※※

彼は驚いて足を止めると周囲を見渡す。

車がある位置は、彼が砂利地に行き着くまでに通った獣道の途中から数メートル立ち入った辺りのようだ。

どうやらこの辺りだけ木があまりなく、背丈くらいの草が生えているだけで車の侵入も可能のようだ。

車は完全に草に覆われていて、周囲からはその姿が見えない。

Sは草をかき分けながら車の周囲を歩いていく。

それは白の箱型のセダンのようで、あちこち錆や汚れがありタイヤはパンクしている。

どう見てもかなり長い年数の間放置されていた感じだ。

5/8
コメント(5)
  • なかなか面白かったです。

    2024/03/07/10:24
  • こういう作品好きですね

    2024/03/07/16:49
  • ワクワクするタイトル

    2024/03/07/17:46
  • 怖いというよりも悲しい

    2024/03/07/23:12
  • 皆様、コメントありがとうございます。
    とても創作の参考になります。
    ─ねこじろう

    2024/03/11/07:40

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