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呪い・祟り

kanaさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

【short_68】おでき ※グロ注意
短編 2024/03/01 21:18 2,156view
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朝起きて、なんとなく太ももにピリリとした痛みが走った。
見ると赤く腫れがあるようで、真ん中に小さな白い点があるように見える。
内腿の柔らかい部分に出来たそのおできに、適当に軟膏を塗ってそのまま現場へ向かった。

仕事が終わり、日当をもらって酒を飲んで、それから宿舎へ戻って共同のシャワーを浴びたら、あとはそのまませんべい布団にもぐりこむだけ。だが痛い。内腿にできたおできがまた少し大きくなっている。軟膏を塗って寝る。
また次の日も同じ現場だ。働いて、金をもらって酒を飲んで宿舎へ戻る。
そんなことを繰り返しているうちに、おできはとうとうゴルフボールでも埋まっているのではないかと言うほど腫れあがっていた。

真っ赤に腫れたふくらみの真ん中には大きな白い部分があり、明らかに大量の膿が溜まっているようだった。さらにその中心部分には黒くなっている部分があった。
男はそれを見て、昔何かで聞いたことがあるやつだと思った。毛嚢炎だったか、毛が伸びて表に出る前に、何かで塞がれたせいで体内で毛が伸びてしまって炎症を起こすという奴だ。

あまりの痛みに悶絶するが、病院には行けない。行けば身元がバレる可能性がある。
そうすれば警察がやってきて自分は捕まってしまう。もう何年も身分を隠して逃げている。

男は、自分で切開して膿を出そうと考えた。もらったタオルを何枚か用意し、一枚は敷いた。その上で内腿を大きくさらし、患部に焼酎を吹きかけた。殺菌のつもりだ。ついでに飲んだ。麻酔のつもりだ。そして仕事でも使うカッターを取り出し、刃先を火であぶった。これも殺菌のつもりだ。そしていよいよ、カッターの刃で患部に切れ込みを入れる。

『ブピュッ!! ブリュリュリュ!!』黄白色の膿が大量に出た。絞るとドス黒い血も混じり始める。男は痛みに耐えながら中身を絞り出す。『ブルルル』とまだ大量に出てくる。
男はその傷口に黒い毛のようなものを見つけた。今度は毛抜きを用意して、それを引っ張り出す。毛がズルズルと出てくる。長い・・・まるで女の髪の毛のように何本も束になってズルズルと出てくる。男はそのままズズズと毛を引っ張り出す。すると、毛に玉のようなものが付いて出てきた。うす茶色い、まるでミイラのような色をしたそれは、玉ではなく、その下にも何かが続いて出てきた。

引っ張り出しながら男は悲鳴のような声を出して泣き始めた。
毛に繋がっていたものは、手足のようなものもあり、まるで人間の身体のように見えた。

「うごぉぉぉぉおおお」男は半狂乱に声を上げた。

数年前に殺した、髪の長い若い女の姿にそっくりだった。

見るとそれは動き出していた。動いて、また男の傷口の中に入って行こうとしていた。
「おわぁぁぁ! うわぁぁぁ!!」男は持っていたカッターで『それ』に切り付けた。
そしてさらに刺しつづけた。まるであの事件の時と同じように。

「うっ!!」 メッタ刺ししている最中に、男は自分の太腿も誤って刺してしまった。
血が激しく噴出する。・・・明らかに大動脈を切ってしまっていた。
男は、止められない大量の血を手で塞ごうとしてもがき、苦しみ、
そしてだんだん体が冷たくなっていくのを感じていた。

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コメント(3)
  • 食事中にみちゃいました( ;∀;)

    2024/03/04/12:31
  • 剣道部で居合い抜き、刀が部員の太ももに刺さって重傷のニュース

    2024/03/08/07:18
  • 20日(現地時間)の英デイリーメールなどによると、30代後半の男性スティーブン・スピナルさんは2022年末、股のイングローンヘア(埋没毛)を除去して細菌に感染し、敗血症と診断された。イングローンヘアとは、毛が皮膚の外に出ず、皮膚の下で成長するケースをいう。

    怪談に書くと、現実世界でもそのキーワードのニュースが出る。

    2024/03/22/19:26

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