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心霊

kanaさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

【short_45】赤子
短編 2024/02/07 21:38 839view

あれはボクがまだ小学生のころ。夏休みの昼下がり。
ボクと弟は2階の部屋で一緒に昼寝をしていた。

遠くで赤ちゃんの泣き声がする。なんとなくウトウトしながらそれを聞いている。
(・・・赤ちゃんなんて、どこで泣いてるんだろう・・・)

だんだん赤ちゃんの泣き声が大きくなる。
そうなると、こっちも気になりだして眠ってもいられない。ぼんやり起き出した。
ドアの外から赤子の泣き声がする。ウワンウワンと大きくなる。

ボクは布団から立ち上がってドアの方へ行こうとした。・・・が、
弟が突然ガバっと起きてボクの足を掴む。
驚いて弟を見ると、無言でイヤイヤをするように首を横に激しく振っている。

赤子の泣き声のするドアを二人で見た。

「ウチに赤ちゃんなんていないのに・・・どっから来たんだろう・・・」
しかもここは2階だ。赤ちゃんがひとりでハイハイしながら階段を上って来たとは思えない。

「おかーちゃんもおとーちゃんもパチンコ屋行くって言ってたし・・・ウチには誰もいないはずなのに・・・」

その時、ズドドドドとまるで階段を何かが転げ落ちるような音。そしてガシャーンと
玄関の方からガラスの割れる音がした。

ボクと弟は驚いて今度こそは二人で起き上がって、ドアを開けた。

・・・血の付いたものを引きずったような跡が階段から玄関まで続き、
玄関横のガラス部分が割られていた。血の跡はそこで消えていた。

両親がパチンコから帰って来たので説明したが、なぜかボクらが逆に怒られた。

・・・ボクらに本当はもう一人兄弟がいたことを知らされたのは、
それから何年も経ってからだった。
赤ちゃんの時に亡くなった兄がいたそうだ。

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