A.I子
投稿者:ねこじろう (147)
その日は朝から粉雪舞う1日だった。
コンビニ弁当工場で夕方まで働き、白いフリースにジーパンというありきたりな格好で商店街の歩道をうつむき歩く。
世間はクリスマス気分に包まれ街ゆく人たちの足取りもどこか浮き足立っているようだが、この俺だけは別惑星からの生物のような阻害された気分だった。
傍らを世話しなく行き交うカップルや家族連れ。
そして右側に立ち並ぶ様々な商店のウインドウのディスプレイは、きらびやかなクリスマスシーズンを演出していた。
ふと顔を上げた視界に奇妙なモノが入った。
それはとある電器店のウインドウ。
俺はその前で思わず立ち止まる。
そして改めてしげしげとそれを見つめた。
「クリスマスプレゼントにいかがですか?」と書かれた横向きの垂れ幕の下方に並ぶ様々な電化製品。
そしてその中心に置かれひときわ目立つモノ。
一見すると、それは上半身だけの女性のマネキンのように見える。
明るい茶髪をショートにしたあどけない顔。
ちょうど胸元の辺りまでしかその上半身はなく、二本の腕を行儀よく前で重ねている。
その傍らには、
A.I子「人工知能搭載の素敵なお友達」
価格¥300、000と書かれた金属のプレートがあった。
するとそれは微かに首を動かし俺の方に視線をやり、大きな瞳をパチパチと瞬くと
ごく自然な感じで微笑む。
俺は両目を大きく開けあんぐりと口を開き
「愛子?、、そんな、嘘だろ?」と呟くと、
ウインドウ横手の入口扉を勢いよく開け店内に入って行った。
数分後、俺は、きちんと包装された縦横50センチほどの箱を片手に提げて電器店から出てくる。
完全な衝動買いだった。
現金の持ち合わせがなかったから、唯一のクレジットカードで「A.I子」を買った。
毎日の生活で精一杯の今年三十路の男がなぜ、そんなものを大人買いしたのか?
その理由を知るには少し時間を後ろに引き戻さないとならないだろう。
いいですねぇ
ハラハラ、ドキドキ、とても面白い作品でした。
コメントありがとうございます。
─ねこじろう
トラウマに、なりそう。
ドキドキしながら読みました((゚□゚;))
心が痛む
寝れませんね絶対にw
皆様コメントありがとうございます
─ねこじろう