【あの頃の怪談②】写真
投稿者:綿貫 一 (31)
見ると、写真の右下にオレンジ色の数字で、写真が撮影された日付が印字されていた。
1991年。
小学校当時のものだ。
「カレシによく似た別人。現像した写真屋が、写真を混ぜてしまった」
「ううん、間違いなく昔のカレシ。
室内の景色も、当時住んでたアパートで間違いない。
それに――」
彼女は私の手から束を取り上げると、何枚かの写真を抜き出した。
「これ。私が今住んでる家の、近所の商店街の写真。
昔からある、古い商店街ではあるんだけど……。
ここ見て、この人が手に持ってるモノ、」
印字された日付は、確かに1991年。
写真の中の通行人が手にしていたもの、それは。
「――スマホ?」
今なら写っていたって、何の問題もないもの。
しかしそれが、スマホの存在しない昔の写真に写り込んでいる。
異常だ。
印字された日付が加工なければ、だが。
「もちろん、加工なんてしてないよ。
同窓会の余興に、わざわざそんな手の込んだことする必要もないし。
でもね、ただ『時代が合わないものが写ってる写真』なら、『不思議だね』で、別によかったの。
でも、これ――」
かすかに震えた手で、一枚の写真を差し出す彼女。
それは、明らかに「今の時代の仕様の乗用車」の車内から写されたもの。
フロントガラスは割れ、エアバッグが飛び出し、血液らしきものが飛び散っている。
車両事故。
しかし、日付はやはり、夏祭りの夜。
「ねぇ、これも、昔の光景じゃないよね……?
でも私、この光景に見覚えはないの。
これって、これから起きることなの?
ねぇ。あなた、なにかわからない……?」
続きだ!!
綿貫です。
それでは、こんな噺を。
う~む、分かりやすいのに良くわからない話であり、怖そうなのに怖いのかわからない。
でも意味不明な話でもない。
まさに不思議怖い話だ。