冬の山道は要注意!!
投稿者:rark (32)
「放置車両ですかね?」
「ああ…。酷いぶっ壊れようだな。事故った見てーに。」
車の中で少しだべった後、僕は後部座席に移動し、シートに寝転がる。
……
コン…コン……
弱々しい、かわいた音で、僕は目を覚ます。携帯を見ると時刻夜中の2時。窓の外を見ますが、何かがいる気配も、何かが当たっている気配もない。ただ”コンコン……”という弱々しい音が、どこからともなくなり続けている。とりあえず僕は、寝ている征爾さんを起こす。
「んあ?んだよ…まだ夜中だぞ……」
まだ眠いめを擦っている征爾さんに、事情を説明する。
「ああ。確かに聞こえるな。まぁでも、風かなんかだろ。あんま気にすること……」
そう言いかけた征爾さんは、ピタッと動きを止める。そして僕にこう言う。
「なあ。お前……絶対サイドミラー見るなよ。」
もう遅い。「見るな」と言われたと同時に、僕はサイドミラーを見てしまった。始めは人影が近づいてくるだけで、それが誰か分からなかった。が、それが段々と近づいて来ると同時に、僕の心臓の鼓動がどんどん早くなって行くのを感じる。
チカチカと点滅する街灯に照らされたのは、人の形をした、肉の塊のようなもの。
所々肉が滴り落ち、顔もぐちゃぐちゃで表情も分からない。とにかくぐちゃぐちゃ。と言えばいいのだろうか?
(ええっと……なんだっけ?)
僕の頭に、友達と徹夜してプレイした、バイオハザードのゲームが頭をよぎる。
その間にも、そいつは足を引きずりながらこちらに近づいて来る。拳銃でもあればいいのだが、生憎そんなものは持ち合わせていない。
「バカ……!見るなって言っただろ……。」
僕の息遣いが荒くなるのを察したのか、征爾さんが僕にそう言う。そして、
バァン!!
左側の窓から、大きな音が聞こえる。咄嗟に窓の方向を見ると、そいつが、ビタっと窓に張り付いて、カリカリと指のようなもので、窓を引っ掻いている。
「……る…ち……お………る……」
何かを言っているようだが、全く聞き取れない。そして、そいつは僕に気づいたのか、ぐちゃぐちゃの口の口角が上がり、ニヤッと笑ったようになる。
「うぁぁぁ!!」
咄嗟に右側の窓の方に、勢いよく避難したと同時に、頭に鈍い痛みが走った所で、僕の記憶は途切れている。
……
「おーい。○○(僕の名前)起きろ。行くぞー。」
気がつくと、辺りは明るくなっている。
「……え?あいつは?」
面白かった!