【short_28】不法投棄された布団
投稿者:kana (210)
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人目の多い都市部ならいざ知らず、田舎の、人気のない山道なんかでは、
未だに不法投棄が絶えない場所もある。
ある時、クルマで入った山道の途中に、そんな不法投棄されている場所を見つけた。
「まったく、しょうがねぇなぁ」と思いながら素通りしようとしたのだが、
気になるものが捨ててあった。・・・布団である。敷布団と掛布団が重ねて捨ててあった。
それだけなら別に気にもかけないのだが、なんだか真ん中あたりがこんもりしていて、
まるで誰かが今も寝ているように見える。・・・いやまさか、さすがに捨てられた布団に寝てるやつはおらんだろう。
そう思いつつ、もうひとつの怖い想像もしていた。死体が寝ていたらどうする?
ボクはクルマを停めて、ちょっと見てみることにした。
だが、それはすぐに後悔に変わった。
辺り一面、ものすごい腐臭。吐き気を催す腐敗した匂い。ヒトコト、キョーレツ。
おかげで想像はより強固に補完された。
布団の周りにはハエがたくさんたかっている。
手で触るのもいやなので、ボクはその辺におちていた大きめの木の枝を使って
布団をガバっとめくってみた。
その瞬間、恐ろしいほどの羽音をさせ、大きなハエの大群が中から飛び出してきた。
布団の中はウジやら有象無象の虫たちが数千、数万と湧いていて、見るも無残な恐ろしいパーティーが繰り広げられていた。
ボクは叫びながらクルマに逃げ帰り、脱兎のごとくアクセル全開でその場を逃げた。
一瞬しか見ていないが、強烈に脳裏に映ったその景色には、死体らしきものはなかった。
ただ、布団はなにかどす黒いシミが全体にジメジメと染み込んでいた。
悪いことは言わない。皆さんは、捨ててある布団には近づかない方がいいですよ。
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