邪視(?)
投稿者:イエティ (51)
こりゃ持ったまま開けられねえ、俺は再び地面に置き、取っ手に手をかけた。
サビで固まってて、ちょっと力を入れたぐらいじゃ開かなかった。
腰袋に入れていたくさび打ちの尖った方を、隙間に差し込んだ。
くさび打ちってのは、とんかちみたいな道具で、片方がとんかち、片方は鋭く尖ってる。
ググればすぐにわかると思う。
んで、体重かけてこじ開けた。
ギギギギギ…と嫌な音を立てて、少しだけ開いた。
手を突っ込んでこじ開けると、そこには壺が入ってた。
枯れ葉や虫が入り込んではいるけど、壺自体はまあまあ綺麗だった。
絶対これ高く売れるやつやん!!!とハイテンションな俺。
壺を手に取って、中を覗いた。
壺の入り口部分は直径5cmほどしかなくて、薄暗い山奥、
ましてや明け方だったから、中は見えなかった。
持っていた懐中電灯で、中を照らした。
最初に小便しててよかった。
する前だったら、絶対に漏らしてた。
壺の中身は、大量の”目”だった。
無数の眼球がこっちを、ギョロリと蠢いて、見ている。
目を離したい、怖い、見たくない。
でも、目が離せないんだよね。
金縛りなのか、体も動かない。
こんなに怖い思いするなら死にたい今すぐ死にたい、
何故かそんな思いが頭の中を巡っていた。
その時、ふっと右腕が動いた。
依然、目は離せず、怖い、死にたい、そう考えていた。
ふらーっと動いた右腕は、迷わずくさび打ちを手に取った。
これで頭をぶん殴れば、楽になれる・・・
くさび打ちを自らの頭に…振りかぶろうとしたその時。
「〇〇!!!!!」
俺の名を呼ぶ親父の声がした。
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。