こりゃ持ったまま開けられねえ、俺は再び地面に置き、取っ手に手をかけた。
サビで固まってて、ちょっと力を入れたぐらいじゃ開かなかった。
腰袋に入れていたくさび打ちの尖った方を、隙間に差し込んだ。
くさび打ちってのは、とんかちみたいな道具で、片方がとんかち、片方は鋭く尖ってる。
ググればすぐにわかると思う。
んで、体重かけてこじ開けた。
ギギギギギ…と嫌な音を立てて、少しだけ開いた。
手を突っ込んでこじ開けると、そこには壺が入ってた。
枯れ葉や虫が入り込んではいるけど、壺自体はまあまあ綺麗だった。
絶対これ高く売れるやつやん!!!とハイテンションな俺。
壺を手に取って、中を覗いた。
壺の入り口部分は直径5cmほどしかなくて、薄暗い山奥、
ましてや明け方だったから、中は見えなかった。
持っていた懐中電灯で、中を照らした。
最初に小便しててよかった。
する前だったら、絶対に漏らしてた。
壺の中身は、大量の”目”だった。
無数の眼球がこっちを、ギョロリと蠢いて、見ている。
目を離したい、怖い、見たくない。
でも、目が離せないんだよね。
金縛りなのか、体も動かない。
こんなに怖い思いするなら死にたい今すぐ死にたい、
何故かそんな思いが頭の中を巡っていた。
その時、ふっと右腕が動いた。
依然、目は離せず、怖い、死にたい、そう考えていた。
ふらーっと動いた右腕は、迷わずくさび打ちを手に取った。
これで頭をぶん殴れば、楽になれる・・・
くさび打ちを自らの頭に…振りかぶろうとしたその時。
「〇〇!!!!!」
俺の名を呼ぶ親父の声がした。
























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