深夜のテレビショッピング【素敵なアンチエイジング】
投稿者:ねこじろう (147)
スタジオ内に割れんばかりの拍手と歓声が沸き起こった。
「いかがですか?」
そう言って藤田がトメさんの顔前に手鏡をかざすと、トメさんは目を丸くして「こりゃ、こりゃ、どうしたことじゃろう!ありがたや、ありがたや」と拝み始めた。
すると地童が「わああ、わたしもこれ欲しいわあ、、、でも藤田さん、やっぱりこれお高いんでしょう?」と言って流し目で藤田を見る。
「それでは、気になるお値段ですが、、、」
画面の中で藤田が商品の値段を説明し始めたとき、大田は携帯で部下の篠原に電話をしていた
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楠田チヨの取り調べ二日目
その日の取り調べは午後2時からのスタートだった。
F警察署二階取調室。
昨日と同じく室中央のデスクには大田と楠田が向かい合って座り、奥の窓際では篠原がパソコンのキーボードを叩いている。
まず最初に大田が口を開いた。
「楠田さん、あんたのその顔、深夜のテレビショッピングからの商品で変身したんだろう?」
大田の言葉に楠田は驚いたような顔をした後、静かに頷くと語り始めた。
「はい、大事な預金を全てはたいて買いました
商品で顔を変え流行りのファッションに身を包んで、私はある日の夕方、信二くんがバイトから上がりいつもの道を帰る途中に声をかけました。
彼は最初、私が誰だか分からなかったようでした。
当然ですよね、私、別人のように変わっていたから。
だから私必死に、自分が誰なのかを説明しました。
すると彼やっと分かってくれて、、、
それから私、生涯初の告白をしたのです」
大田も新人刑事も、ただじっと楠田の話に聞き入っている。
彼女は軽く一息つくと、続けた。
「私の人生をかけた告白の後、信二くんはしばらくじっと私の姿を上から下まで見ていたのですが最後は冷ややかな目で私の顔を改めて見ると、一言こう言ったのです。
『うぇ、気持ちわる!』
その一言で私の頭の中は真っ白になり体は固まり、しばらくその場を動くことが出来ませんでした。
それからその場を逃げるように立ち去ると、翌日にはナイフで狂ったように信二くんの胸や腹を何回も刺していました」
そう言って楠田はデスクの上に顔を埋め、嗚咽をあげだした。
大田はしばらくその様子を眺めていたが、やがて驚くべき事実を語り始めた。
「ところで楠田さん、あんたが狂おしいほど愛した星崎信二くんたけど、いったい何歳だったか知っていたのかい?」
オチが分かりませんでした。ただ同じ商品を使っていたという事でしょうか?でもそれだと別に気の毒ではないし…
顔を若く整形しても、手と首でバレるからね。
そんな商品通販で売ってたとしても買う人いるのかな?