深夜のテレビショッピング【素敵なアンチエイジング】
投稿者:ねこじろう (147)
「その日から私はほぼ毎日、駅前のコンビニに行くようになったのです。
生活で使うあらゆるものを、そのコンビニで買うようになりました。
もちろん信二くんに会うためです。
優しい彼はレジの前後に、必ず私に声をかけてくれます。
私の思いは募るばかりでした。
若くイケメンの彼に認められたくて黒髪を茶髪に染めたり、付けたこともなかったイヤリングを付けたりもしました。
ファッションも雑誌等を参考にして、流行りのものを意識したものにしました」
そう言って楠田は自嘲気味に笑った。
「そんなに思いを寄せていた信二くんに対して、どうしてあんたは、あんな酷いことをしたんだ?」
大田の核心を突いた質問に対して楠田はみるみる顔を紅潮させ、苦しげに胸を押さえながら荒く呼吸をし出した。
窓際に座る若い刑事が、心配げな顔をして大田の顔を見る。
「あんたも今日は、いろいろ疲れただろう
続きは、また明日にしよう」
大田の言葉で、楠田チヨ78歳の第一日めの取り調べは終わった、、、
※※※※※※※※※※
夜自宅マンションに帰った大田はスーパーの格安弁当で夕食を終えるとシャワーを浴び、ソファーに座って缶ビールを一つ空けてテレビの電源を入れた。
すると突然画面から騒々しいマーチソングが鳴り出し、ビールを吹き出しそうになる。
拍手と歓声の中「増税メガネ」と書かれたTシャツに金色の法被を羽織ったMCスマイル藤田が、艶やかな着物姿の小柄な女性とともに現れ、スタジオの中央に並び立った。
「さあ皆さん、お待たせしました!
深夜のテレビショッピングのお時間です。
本日の最初の商品をご紹介する前に、今晩のゲストは演歌歌手の地童あきえさんです!」
地童がピエロのような濃い化粧の顔に笑顔を浮かべながら「皆さん、こんばんは」と深々と頭を下げる。
スタジオ内は拍手の波に包まれた。
「地童さんはいつも若々しくてお元気で、何よりです。
私も昭和の頃からずっと大ファンでしたよお
ところで地童さんは今年で何歳になるんでしたっけ?」
藤田のストレートな質問に地童は一瞬不快げに眉間に皺を寄せたが、またすぐに元のにこやかな顔になり、
「わたしは永遠の22歳で~す!」とピースサインをした。
しんと静まりかえるスタジオ。
静寂を打ち破ったのは、やはり藤田だった。
オチが分かりませんでした。ただ同じ商品を使っていたという事でしょうか?でもそれだと別に気の毒ではないし…
顔を若く整形しても、手と首でバレるからね。
そんな商品通販で売ってたとしても買う人いるのかな?